Unit 00-04(STAGE 00 の 4 / 6)

120人はどうやって仕事をするのか

学習状況:未着手

このユニットの結論

120人は、全員で話し合って仕事をすることはできません。

役割ごとのチームに分かれ、決める人と決める場を決め、決まったことを成果物(文書・一覧)に残して共有することで、互いを直接知らない人どうしでも、同じ事実をもとに仕事を進めます。

1. 何の話か

このユニットは、大人数のプロジェクトの働き方の話です。

数人のチームなら、隣の席の人に聞けば分かります。120人になると、名前も顔も知らない人の決めたことが、自分の仕事の前提になります。そのための仕組みを、入口として見ておきます。

2. なぜ必要か

仕組みがないと、

ということが起きます。

3. このユニットで分かること

4. 4つの仕組み

仕組み 内容 詳しく学ぶところ
チームに分ける 業務・設計・開発・テスト・移行・運用などの役割ごとにチームを作り、責任者を置く PRG-003 プロジェクト体制図
決める人と場を決める 何を誰が決めるか、どの会議で決めるかをはっきりさせる 03-03、03-04
成果物に残す 決まったこと、分かったこと、困っていることを、決まった形の文書・一覧に残す 成果物一覧
困ったことを上げる 自分たちで解決できないことを、決まった道筋で上に上げる 03-05

5. 成果物が「共通の事実」になる

大人数のプロジェクトでは、話した内容は、話した人にしか残りません。成果物(要件一覧、課題の一覧、設計の記録、テストの結果など)に残すことで、

ようになります。そのためには、何をどの成果物に残すか、成果物をどこに置くかを、プロジェクトの初めに決めておくことが大切です。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件に関係する記載

  • 約120人規模のプロジェクト、マルチベンダー(Vendor 4社)
  • 正本に記載された人物:アステリア側 13名、Vendor PM 3名
  • 役割の例:CFO/プロジェクトスポンサー(P-001)、プログラムマネージャー(P-003)、PMOリーダー(P-004)、業務のリーダー(P-005〜P-007)、システムアーキテクト(P-008)、各分野のリーダー・責任者(P-009〜P-013)
  • 70種類のプロジェクト成果物、うち29種類が重点成果物

アステリア案件のチームの分け方、各チームの人数、会議体、報告の道筋は、正本に記載がありません。未確定 人物の一覧は 人物 で確認できます。

6. THINK — 「会議に出た人は知っているので大丈夫です」

ある会議で、テストの開始日を1週間遅らせることが決まりました。記録は、出席者それぞれの手元のメモだけです。会議を開いた担当者は次のように言っています。

「出席した人は全員知っているので大丈夫です。記録にまとめるのは手間なので省きます。」

問題

この進め方でよいでしょうか。

判断例を開く

判断

このままではよくありません。

確認すること:

  • その決定は、その会議で決めてよい範囲のものか。決める人は誰か
  • 会議に出ていないが影響を受けるチーム(開発・移行・利用部門など)は、決まったことを知っているか
  • あとから入った人が、決まったことと、その理由をたどれるか
  • 全体のスケジュールなど、関係する成果物に反映されているか

出席者の記憶とメモは、人によって食い違います。決まったことは、決められた成果物に残し、影響を受ける人に届けます。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

9. AI WORKFLOW — 決まったことの転記を手伝わせる

AIは、話し合いの記録から、決まったことを取り出す下書きに役立ちます。

指示例:

「次の会議のメモから、①決まったこと、②決まっていないこと、③ほかのチームに伝える必要がありそうなこと、を分けて一覧にしてください。決まったかどうかがはっきりしないものは、決まっていないことに入れてください。」

10. REVIEW — AIの整理を確認する

  • AIが「決まったこと」としたものを、話し合った本人たちが確かめたか
  • 決める権限のある人が決めたことか
  • メモを AI に渡してよいか(秘密の扱い)を、事前に確かめたか

ADVANCED深掘り — 実務者向けに一段深く

深掘り — 調整の手間は人数の二乗で増える

経路の数を数えてみる

n 人がいるとき、1 対 1 で話す経路の数は n×(n−1)÷2 です。10人なら 45、30人なら 435、120人なら 7,140 になります。人数が 12 倍なら、経路は約 159 倍です。「全員が全員と話して合わせる」という前提は、この数の時点で成り立ちません。

だからチームに分け、つなぎ目を設計する

人数を小さなチームに分けると、チームの中の経路は少なくて済みます。代わりに、チームとチームの間の接点(窓口になる人、定例の会議、共有する文書)が必要になります。この接点が 00-01 で学んだ「つなぎ目」です。つなぎ目は自然には生まれないので、誰が窓口か、何を文書で渡すか、どの会議で決めるかを、体制図と役割分担表に書きます。

人を足すと遅くなることがある

遅れている作業に人を足すと、新しい人に教える時間と、調整の経路が同時に増えます。その結果、かえって遅れることがあります。世界で共有されている考え方では「ブルックスの法則」と呼ばれます。人を足すなら、作業を分けられる早い段階に、教える人を決めた上で足します。

測り方の例

  • 1 人あたりの会議の時間(週)
  • 1 つの決定に関わる人数と、決まるまでの日数
  • 他のチームへの依頼が往復する回数

これらが増え続けているなら、つなぎ目の設計を見直す合図です。

現場で確かめる問い

  • 体制図に、チームとチームの間の窓口(人・会議・文書)が書かれているか。書かれていないつなぎ目はどこか
  • 1 つの決定に関わる人数が、最近増えていないか。増えているなら、どの決定か
  • 遅れている作業に人を足す案が出たとき、教える人と分けられる作業が先に決まっているか
  • 週あたりの会議の時間を、役割ごとに数えたことがあるか

アステリア案件でチームをどう分け、各チームが何人だったかは、正本に記録がありません。記録なし

11. 人間が判断すること

  • チームの分け方と、責任者
  • 何を誰が決め、どの場で決めるか
  • 決まったことを確定し、どの文書に残すか

12. 判断演習

あなたは、120人のプロジェクトに今日から参加しました。

最初の1週間で確かめておきたいことを3つ挙げてください(例:自分のチームの責任者は誰か)。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

120人は、チームに分かれ、決める人と場を決め、成果物に残して共有することで、互いを直接知らなくても同じ事実をもとに働けます。

決まったことは、影響を受ける人が見られる成果物に残します。

次に読むもの

本文で参照している成果物:PRG-003 プロジェクト体制図、PRG-004 役割・責任分担表、PRG-006 課題・リスク管理表、PRG-007 意思決定記録

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手