Unit 03-05(STAGE 03 の 5 / 7)

プロジェクトの問題をどう管理するか

学習状況:未着手

このユニットの結論

プロジェクトの問題は、見つけるだけでは解決しません。

「すでに起きている問題(課題)」と「これから起きるかもしれない問題(リスク)」を分け、それぞれに担当・期限・次の行動を付けて追いかけることで、初めて管理できます。

1. 何の話か

このユニットは、プロジェクトで起きる問題の管理の仕方の話です。

大規模なプロジェクトでは、毎週のように、

といった問題が出てきます。これを個人のメモや会議の口頭だけで扱うと、忘れられたり、同じ議論を繰り返したりします。

2. なぜ必要か

問題を一覧にして管理すると、

ようになります。

3. このユニットで分かること

4. 課題とリスクを分ける

課題(Issue) リスク(Risk)
意味 すでに起きている問題 まだ起きていないが、起きる可能性がある問題
主な対応 解決する 起きにくくする/起きたときの備えをする
例(教材上の例) 仕様の回答が期限を過ぎた 回答が遅れれば、設計の開始が遅れるかもしれない

同じ「気になること」でも、課題かリスクかで打つ手が変わります。

5. 管理できる状態とは

一般的には、1件ごとに少なくとも次を決めます。

「確認中」とだけ書かれた項目が何週間も残っているなら、管理できていない可能性があります。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件の体制に関する記載

  • 約120人規模のプロジェクト
  • P-003 西村 俊介 — プログラムマネージャー
  • P-004 田辺 彩 — PMOリーダー
  • マルチベンダー(Vendor A〜D)

アステリア案件の課題・リスク管理表の実際の中身や、どの会議で扱ったかは、正本に記載がありません。未確定

6. THINK — 「対応中」が並ぶ一覧

課題一覧を見ると、30件のうち28件が「対応中」でした。

問題

この一覧から、プロジェクトの状態は分かりますか。

判断例を開く

判断

分かりません。

確認すること:

  • 各項目の次の行動と期限が書かれているか
  • いつから「対応中」のままか
  • 担当が個人または明確な役割になっているか
  • 自分たちで解決できず、上げるべき項目が埋もれていないか

状態だけが並ぶ一覧は、「問題があること」しか伝えません。

7. 状況報告では事実と評価を分ける

問題の一覧は、状況報告の材料になります。

報告では、

を分けて伝えます。事実と評価が混ざると、読む人が正しく判断できません。

8. よくある失敗

9. 成果物との接続

危機演習 CR01 要件定義が終わらない、CR05 開発が2か月遅延 では、報告された状況をどう読むかを体験します(学習上の接続です。正式な対応関係ではありません)。

10. AI WORKFLOW — 一覧の点検を手伝わせる

指示例:

「この課題・リスク一覧を確認し、①担当なし、②期限または次回見直し日なし、③次の行動が『確認する』だけ、④長く状態が変わっていない項目、⑤課題とリスクの分類が怪しい項目、を挙げてください。優先度は決めず、判断材料だけを示してください。」

会議記録から新しい課題の候補を抜き出させることもできます。

11. REVIEW — AIの結果を確認する

  • AIが挙げた「長く変わっていない項目」が、本当に止まっているのか
  • 会議記録から抜き出した候補が、実際に合意された内容か
  • AIが優先度や影響を推測で書き足していないか

ADVANCED深掘り — 実務者向けに一段深く

深掘り — 課題の滞留日数と、上げる基準

滞留日数を持つ

課題ごとに「起票してから今日まで何日か」を持ち、分布で見ます。古い課題ほど関係者の記憶が薄れ、解決しにくくなります。一覧を「件数」で見るだけでなく、「30 日を超えた課題が何件か」「平均の滞留日数が増えているか」で見ると、管理が回っているかが分かります。

優先度は 2 つの軸で

影響の大きさ(止まる業務の広さ、金額、安全)と、期限までの余裕の 2 軸で 4 つに分けます。「影響が大きく余裕がない」は今すぐ、「影響が大きく余裕がある」は計画して、「影響が小さく余裕がない」は担当で処理、「影響が小さく余裕がある」はやらない判断も含めて見直します。1 つの軸だけで並べると、急ぎの小事が重要な大事を押しのけます。

上げる基準を数値で決める

「影響が大きい課題が 10 営業日動かなければ PMO に、20 営業日で責任者の会議に上げる」のように、上げる基準を数値で決めておきます。基準がないと、担当者の遠慮や忙しさで課題が止まり、上に届いたときには手遅れになります。基準は個人を責めるためではなく、止まった課題を仕組みで動かすためのものです。

同時に抱える数に上限を置く

担当者あたりの進行中の課題に上限(たとえば 3 件)を置くと、終わる速度が上がります。たくさん抱えると切り替えの手間が増え、どれも終わらないからです。世界で共有されている考え方では、進行中の仕事(WIP)の制限と呼ばれます。

現場で確かめる問い

  • 一覧を滞留日数の分布で見たことがあるか。30 日を超えた課題は何件か
  • 優先度は 1 つの軸だけで付けていないか。影響と期限の 2 軸で見直すとどう変わるか
  • 上げる基準(何日止まったら誰へ)が数値で決まっているか。最近それで上がった課題はあるか
  • 担当者あたりの進行中の課題は何件か。上限を置くなら何件か

アステリア案件で課題がどう管理され、上げる基準が何だったかは、正本に記録がありません。記録なし

12. 人間が判断すること

  • 優先度と担当
  • どの問題を上に上げるか
  • リスクを受け入れるか、対策するか
  • 問題を完了とするか

13. 判断演習

あなたの一覧に「他社の回答待ち(対応中)」という項目が3週間残っています。

あなたなら、この項目に何を書き足しますか。

  • 次の行動
  • 期限または見直し日
  • 回答が来ない場合に上げる先
  • 回答が遅れた場合の影響

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

問題管理の目的は、明日の朝、誰が何をするかが分かる状態にすることです。

課題とリスクを分け、担当・期限・次の行動を付けて追いかけます。

次に読むもの

本文で参照している成果物:PRG-006 課題・リスク管理表、PRG-010 プロジェクト状況報告書、PRG-007 意思決定記録

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手