Unit 00-05(STAGE 00 の 5 / 6)

誰が関係者で、誰に影響するのか

学習状況:未着手

このユニットの結論

大規模なプロジェクトでは、「体制図に載っている人」だけが関係者ではありません。

影響を受ける人・決める人・作る人・支える人を洗い出し、「誰が、何に、どれだけ影響するか」を地図にして初めて、伝える相手と決めてもらう相手が決まります。地図にない人は、あとで必ず現れます。

1. 何の話か

このユニットは、プロジェクトの関係者(ステークホルダー)をどう洗い出し、どう整理するかの話です。

関係者とは、プロジェクトの結果に影響を受ける人、プロジェクトの進め方に影響を与えられる人のことです。経営層、業務部門、情報システム部門、ベンダー、監査、取引先、そして最後に画面を使う人まで含みます。

2. なぜ必要か

関係者を洗い出さずに進めると、

ということが起きます。約120人規模のプロジェクトでは、関係者は社内外に数百人に及びます。記憶では管理できません。

3. このユニットで分かること

4. 関係者を洗い出す 4 つの入口

一般的には、次の 4 つの入口から洗い出します。

入口 例(一般的な例) 見落としやすい人
結果に影響を受ける 業務部門の担当者、取引先、顧客 月に 1 回しか使わない部門、派遣・委託の担当者
進め方に影響を与える 経営層、投資を承認する人、監査 法務・内部統制の担当、労働組合
作る・運ぶ ベンダー、情報システム部門、運用の担当 保守が終わる旧システムのベンダー
間接的につながる 連携する他システムの持ち主、外部サービスの提供元 データを受け取っている子会社や関連会社

洗い出しは一度で終わりません。要件定義・設計・移行の各段階で「新しく現れた関係者はいないか」を問い直します。

5. 影響と関心の 2 軸で分ける

洗い出した関係者を、影響の大きさ(その人の判断や協力が、プロジェクトをどれだけ左右するか)と関心の強さ(その人がプロジェクトにどれだけ注意を向けているか)の 2 軸で 4 つに分けます。

分け方は固定ではありません。移行が近づけば、業務部門の関心は急に強くなります。地図は定期的に描き直します。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件の関係者に関する記載

  • アステリア側の名前が確定している人物は 13 人:P-001 佐伯 隆志 — CFO/プロジェクトスポンサー、P-002 高瀬 真理 — CIO/IT統括責任者、P-003 西村 俊介 — プログラムマネージャー、P-004 田辺 彩 — PMOリーダー、P-005 藤本 遥 — 経理業務リーダー、P-006 川村 美咲 — プロジェクト管理業務リーダー、P-007 松本 健太 — 営業・契約業務リーダー、P-008 黒田 健 — システムアーキテクト、P-009 橋本 奈緒 — データ移行リーダー、P-010 宮田 直人 — テスト・品質管理リーダー、P-011 山下 恵 — 本番移行・運用リーダー、P-012 石井 稔 — セキュリティ責任者、P-013 木村 亮 — AIガバナンス責任者
  • ベンダー側の PM は 3 人:P-A01 井上 健一 — Vendor A PM、P-B01 吉田 圭介 — Vendor B PM、P-C01 大森 裕 — Vendor C PM
  • Vendor は 4 社(Vendor D のPM は記録なし)。約120人規模のプロジェクト、マルチベンダー

正本に名前があるのは 16 人だけです。約120人のメンバー、業務部門の担当者、取引先、監査など、ほかの関係者の名前・人数・関心は記録がありません。記録なし 16 人が「影響と関心」のどこに位置するかも記録がありません。記録なし

6. THINK — 「体制図に載っている人で足りる」

プロジェクトの初期に、PMO のメンバーが次のように言いました。

「関係者は体制図に載っている人たちです。それ以外の人に話を聞く時間はありません。」

問題

この進め方で、要件定義を始めてよいでしょうか。

判断例を開く

判断

体制図は「作る側の組織」です。影響を受ける人の全体ではありません。

確認すること:

  • 新しいシステムの結果(画面、帳票、データ)を受け取る部門をすべて挙げたか
  • 連携する他システムの持ち主と、外部サービスの提供元を挙げたか
  • 承認や監査の立場で関わる人(投資、内部統制、法務)を挙げたか
  • 旧システムを止めることで影響を受ける人を挙げたか
  • 挙げた人を「影響と関心」で分け、会う頻度を決めたか

体制図の外の関係者に話を聞く時間は、あとで要件が覆る時間より短くて済みます。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

関係者の地図は体制図より広く、役割分担表は地図のうち「決める・実行する」の部分を細かくしたものです。

9. AI WORKFLOW — 洗い出しの抜けを探させる

AIは、業務フローや要件の一覧から「この業務に関わる部門・外部」の候補を挙げ、関係者一覧との差を探す下書きに役立ちます。

指示例:

「次の業務フローの説明を読み、登場する部門・役割・外部の相手を漏れなく挙げてください。次に、添付の関係者一覧と突き合わせ、一覧にない部門・役割・相手を示してください。重要度や対応方針は判断しないでください。」

10. REVIEW — AIの候補を確認する

  • AIが挙げた部門・役割が、業務フローに実際に登場しているか
  • 一覧にない候補について、本当に関わるかを業務部門に確かめたか
  • AIに渡した業務フローに、個人名や顧客名が含まれていないか

11. 人間が判断すること

  • 誰を「一緒に決める相手」にするか
  • 影響が大きい関係者に、いつ・何を報告するか
  • 洗い出しをどの段階で描き直すか

12. 判断演習

あなたの職場で、ある業務システムを入れ替えると想像してください。

「結果に影響を受ける」「進め方に影響を与える」「作る・運ぶ」「間接的につながる」の 4 つの入口から、関係者を合計 10 以上挙げてください。そのうち、普段のプロジェクトで忘れられやすいと思うものに印を付け、理由を書いてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

関係者は体制図より広い。影響と関心の 2 軸で分け、会う頻度と伝える内容を変える。地図は節目ごとに描き直す。

次に読むもの

本文で参照している成果物:PRG-003 プロジェクト体制図、PRG-004 役割・責任分担表

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手