これは何か
役割・責任分担表は、プロジェクトの判断や作業の種類ごとに、誰が実行し、誰が決め、誰に相談し、誰に知らせるかを一覧にした成果物です。
一般的には、R(実行する)・A(決める)・C(相談を受ける)・I(知らされる)の4つで整理する RACI の形がよく使われます(03-03 誰が決め、誰が実行するのか)。
なぜ作るか
大規模なプロジェクトでは、判断が止まることが大きな遅れにつながります。この表があると、
- 判断を誰に持っていけばよいかが分かる
- 決める人がいない判断、決める人が2人いる判断に気づける
- 会社や部門の境目で、作業が抜けていないかを確かめられる
ようになります。
誰が使うか・いつ作るか
- 使う人:プロジェクトの全員。特に、判断を上げる担当者と、PMO
- 一般的には、プロジェクトの体制を決める初期に作り、体制や判断の種類が変わるたびに更新します
- アステリア案件で、この表をいつ作り、誰が承認したかは、正本に記載がありません。未確定
CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実
正本に記載された人物と役割
| ID | 氏名 | 役割 |
|---|---|---|
| P-001 | 佐伯 隆志 | CFO/プロジェクトスポンサー |
| P-002 | 高瀬 真理 | CIO/IT統括責任者 |
| P-003 | 西村 俊介 | プログラムマネージャー |
| P-004 | 田辺 彩 | PMOリーダー |
| P-005 | 藤本 遥 | 経理業務リーダー |
| P-006 | 川村 美咲 | プロジェクト管理業務リーダー |
| P-007 | 松本 健太 | 営業・契約業務リーダー |
| P-008 | 黒田 健 | システムアーキテクト |
| P-009 | 橋本 奈緒 | データ移行リーダー |
| P-010 | 宮田 直人 | テスト・品質管理リーダー |
| P-011 | 山下 恵 | 本番移行・運用リーダー |
| P-012 | 石井 稔 | セキュリティ責任者 |
| P-013 | 木村 亮 | AIガバナンス責任者 |
| P-A01 | 井上 健一 | Vendor A PM |
| P-B01 | 吉田 圭介 | Vendor B PM |
| P-C01 | 大森 裕 | Vendor C PM |
正本には、どの人物がどの判断の A(決める人)かという分担表はありません。下のサンプルは、構造を学ぶための例であり、上の人物を当てはめたものではありません。
教材用サンプル成果物の読み方を学ぶための例
教材用サンプル — 判断の種類ごとの分担
この成果物は学習用サンプルです。FROZEN正本に記載されたCASE FACTと、成果物の読み方を学ぶための教材用サンプル値を区別して表示しています。
| 判断・作業の種類 | 業務責任者 | プロジェクト責任者 | PMO | 設計担当 | ベンダーPM |
|---|---|---|---|---|---|
| 要件を追加・変更する | A | C | I | R | C |
| 設計方針を選ぶ | C | A | I | R | C |
| テストを終了する | C | A | R | C | C |
| 課題を上に上げる | I | A | R | I | C |
役割の名前と判断の種類は、例として置いたものです。実際の表では、プロジェクトの判断の種類と役割に合わせて作ります。
何を書いてはいけないか
- 1つの判断に、A を2つ以上書く(誰も決められなくなる)
- 「関係者全員」「各部門」のように、人や役割を特定しない書き方
- 実際には決定権のない人を、役職名だけで A にする
どこを見るか
- すべての判断に、A がちょうど1つあるか
- すべての判断に、R(実行する人)がいるか
- 会社や部門の境目の作業(連携・テスト・切替など)が、行として入っているか
- 同じ人に A が集中しすぎていないか
- 表が、いつ、誰の承認で更新されたか分かるか
赤信号
- A が空欄、または複数
- 行が「開発」「テスト」のように大きすぎて、具体的な判断が分からない
- 体制が変わったのに、表が古いまま
- 表はあるが、判断が実際には別の人に上がっている
関係するUnit・危機演習
- Unit:03-03 誰が決め、誰が実行するのか、05-06 ベンダー間の境界を設計する、12-05 誰が本番稼働を決めるのか
- 危機演習:CR03 Vendor AとVendor Cが責任を押し付け合う(学習上の接続です。正式な対応関係ではありません)
AI WORKFLOW
「この役割・責任分担表を確認し、①A がない行、②A が複数ある行、③R がない行、④会社や部門の境目の作業で行がないもの、を挙げてください。誰を A にすべきかは提案しないでください。」
AIは、表の抜けを探す作業や、会議記録から判断の種類を拾い出す作業に役立ちます。
REVIEW
- AIが役職名から決定権を推測していないか
- 「行がない」とされた作業が、別の表で決まっていないか
- 最新の体制図と照らし合わせたか
人間が判断すること
- 判断の種類ごとに、誰を A にするか
- 表の変更を承認するか
- 決まらない判断を、どこへ上げるか
いつ使うか
この教材では STAGE 03|120人をどう動かすのか の文脈で扱います。 アステリア案件での正式な作成・使用時期(月)は正本に記載がないため、未確定としています。
最後の問い
この表で、明日「決めてほしい」と頼まれた判断を、誰に持っていけばよいか分かりますか?