Unit 03-03(STAGE 03 の 3 / 7)

誰が決め、誰が実行するのか

学習状況:未着手

このユニットの結論

大きなプロジェクトでは、「決める人」と「実行する人」と「相談を受ける人」と「知らされる人」を分けて、事前に決めておく必要があります。

これが決まっていないと、作業はできても、判断が止まります。

1. 何の話か

このユニットは、プロジェクトの役割分担の話です。

約120人が関わるプロジェクトでは、同じ課題について、

が別々にいます。

2. なぜ必要か

役割があいまいだと、次のようなことが起きます。

経理で言えば、「伝票を起票する人」と「承認する人」が決まっていない状態です。作業はできても、正式な処理にはなりません。

3. このユニットで分かること

4. 役割を4つに分ける — RACI

実務でよく使われる整理の仕方に、RACI(レイシー)があります。

記号 英語 意味
R Responsible 実行する人
A Accountable 最終的に責任を持ち、決める人(原則1つの役割)
C Consulted 決める前に意見を聞く人
I Informed 決まったことを知らされる人

ポイントは、A(決める人)を1つの役割に絞ることです。Aが複数いると、結局誰も決められなくなります。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件の主な人物と役割

  • P-001 佐伯 隆志 — CFO/プロジェクトスポンサー
  • P-002 高瀬 真理 — CIO/IT統括責任者
  • P-003 西村 俊介 — プログラムマネージャー
  • P-004 田辺 彩 — PMOリーダー
  • P-005 藤本 遥 — 経理業務リーダー
  • P-006 川村 美咲 — プロジェクト管理業務リーダー
  • P-007 松本 健太 — 営業・契約業務リーダー
  • P-008 黒田 健 — システムアーキテクト
  • P-009 橋本 奈緒 — データ移行リーダー
  • P-010 宮田 直人 — テスト・品質管理リーダー
  • P-011 山下 恵 — 本番移行・運用リーダー
  • P-012 石井 稔 — セキュリティ責任者
  • P-013 木村 亮 — AIガバナンス責任者
  • Vendor PM:P-A01 井上 健一(Vendor A)、P-B01 吉田 圭介(Vendor B)、P-C01 大森 裕(Vendor C)

正本には、どの人物がどの判断の「A(決める人)」かという対応表はありません。未確定 このユニットでは、役職名から決定権を推測しません。

5. 役職名だけでは決まらない

「プログラムマネージャーだから全部決める」「業務リーダーだから業務のことは全部決める」とは限りません。

実務では、判断の種類ごとにAを決めます。たとえば、

は、それぞれAが違うことがあります。

6. THINK — 会議で決まらない

ある要件について、業務部門とシステム部門の意見が分かれ、3回の会議で決着がつきませんでした。

問題

4回目の会議を開けば決まるでしょうか。

判断例を開く

判断

会議の回数では解決しないことが多いです。

確認すること:

  • この判断のAは誰か(決まっているか)
  • Cとして意見を聞くべき人は誰か
  • 判断の期限はいつか
  • 決まらない場合、誰に上げるか(エスカレーション先)

Aが決まっていないなら、まずAを決めることが先です。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

危機演習 CR01 要件定義が終わらない、CR03 Vendor AとVendor Cが責任を押し付け合う では、プロジェクトの途中で起きた状況を体験します(学習上の接続です。正式な対応関係ではありません)。

9. AI WORKFLOW — 役割表の抜けを探させる

指示例:

「次の役割・責任分担表を確認し、①Aがいない判断、②Aが複数いる判断、③Rがいない判断、④同じ人にAとRが集中しすぎている箇所、を挙げてください。誰をAにすべきかは提案せず、確認すべき点だけを示してください。」

10. REVIEW — AIの指摘を確認する

  • 判断の種類の分け方が、実際のプロジェクトに合っているか
  • AIが役職名から決定権を推測していないか
  • 指摘された抜けが、本当に抜けなのか(別の表で決まっていないか)

ADVANCED深掘り — 実務者向けに一段深く

深掘り — 判断を分解する粒度と、決定の記録の型

A が決まらないのは、判断が大きすぎるから

「要件の変更」を 1 つの判断として A を決めようとすると、業務の側もシステムの側も譲れず、A が決まりません。判断を分解します。「業務上の必要性を決める」「システムへの影響を見積もる」「費用と期間の増加を受け入れる」「反映の時期を決める」に分ければ、それぞれに A を 1 つ置けます。A が決まらないときは、まず判断の粒度を疑います。

決定の記録の型

決めたことは、結論だけでなく、同じ型で残します。世界で共有されている型は、おおむね次の 4 つの欄です。

  • 文脈:何が問題で、なぜ今決める必要があったか
  • 選択肢:比べた案と、それぞれの長所・短所
  • 決定:どの案にしたか。誰が、いつ決めたか
  • 結果:この決定で受け入れた制約と、見直す条件

結論だけの記録は、あとで「なぜそうしたのか」を説明できず、同じ議論が蒸し返されます。

反対しても従う

C(意見を聞く人)が反対しても、A が決めたら、その決定に沿って動く、という約束を前もって交わします。世界で共有されている考え方では「反対しても従う」と呼ばれます。これがないと、決定のあとも議論が続き、決めた意味がなくなります。反対した意見は、決定の記録の選択肢の欄に残し、見直す条件に反映します。

測り方の例

  • A が決まっていない判断の数
  • 決定の記録のうち、4 つの欄がそろっている割合
  • 決定のあとに蒸し返された判断の数

現場で確かめる問い

  • A が決まらない判断は、分解できないほど大きくないか。分解するとどうなるか
  • 決定の記録は、結論だけになっていないか。選択肢と見直す条件が残っているか
  • 反対した人が、決定のあとにその決定に沿って動く約束があるか
  • 蒸し返された判断の数を数えたことがあるか。蒸し返される理由は何か

アステリア案件で判断をどの粒度で分解し、決定の記録がどの型だったかは、正本に記録がありません。記録なし

11. 人間が判断すること

  • 判断の種類ごとに、誰をA(決める人)にするか
  • 決まらないときのエスカレーション先
  • 役割表を、いつ、誰の承認で変えるか

AIは意思決定責任者ではありません(正本の方針)。決定権の割り当てはAIに任せません。

12. 判断演習

次の判断について、RACIのうち何を決めておく必要があるかを考えてください。

  • 「本番稼働してよいか」の判断
  • 「この要件を次期に回すか」の判断

それぞれ、Aを1つの役割に絞れるかを確かめてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

役割分担の目的は、判断が止まらないようにすることです。

判断の種類ごとに「決める人」を1つに絞り、決めたことを記録します。

次に読むもの

本文で参照している成果物:PRG-004 役割・責任分担表、PRG-007 意思決定記録、PRG-003 プロジェクト体制図

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手