Unit 03-02(STAGE 03 の 2 / 7)

PMOとは何をする組織なのか

学習状況:未着手

このユニットの結論

PMOは、プロジェクトの「事務局」や「報告書を集める係」ではありません。

120人・複数の会社が同じやり方で動けるように、進め方をそろえ、状況を1か所に集めて見えるようにし、判断が必要なことを判断する人に届ける組織です。ただし、PMOが判断そのものを行うわけではありません。

1. 何の話か

このユニットは、PMO(Project Management Office:プロジェクト管理を支える組織)の話です。

小さなプロジェクトなら、プロジェクトの責任者が1人で計画・課題・報告をまとめられます。しかし、約120人・複数の会社が関わるプロジェクトでは、1人では追いきれません。そこで、プロジェクトの管理を専門に支える組織としてPMOを置くことがよくあります。

2. なぜ必要か

PMOがない、または役割があいまいだと、

ということが起きます。

3. このユニットで分かること

4. PMOの主な仕事

一般的には、次のような仕事をします。プロジェクトによって、どこまでをPMOが担うかは違います。

仕事 内容(一般的な説明)
進め方をそろえる 課題・リスクの書き方、報告の様式、会議の進め方、文書の置き場所などの決まりを作り、全チームに使ってもらう
状況を集めて見えるようにする 各チームの報告を集め、全体の状況(予定との差、課題、リスク)をまとめる
課題・リスクを追いかける 担当・期限が決まっているか、止まっているものはないかを確かめ、必要なら上に上げる
変更の手続きを回す 変更の依頼を受け付け、影響の確認と判断の場に回し、結果を記録する
会議を運営する 会議の目的・参加者・決めることを整え、決まったことを記録する
判断の場を支える 判断する人が決められるように、材料をそろえる

5. PMOがしないこと

PMOは、判断する人の代わりではありません。

PMOの強みは、全体を同じ物差しで見られることです。その物差しで見えたことを、ありのまま判断する人に届けることが大切です。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件に関係する記載

  • 約120人規模のプロジェクト、マルチベンダー(Vendor A〜D)
  • P-004 田辺 彩 — PMOリーダー
  • P-003 西村 俊介 — プログラムマネージャー
  • 成果物に PRG-006 課題・リスク管理表、PRG-008 変更管理台帳、PRG-010 プロジェクト状況報告書がある

アステリア案件のPMOの人数、担う仕事の範囲、PMOが運営する会議体は、正本に記載がありません。未確定 正本には P-006 川村 美咲 — プロジェクト管理業務リーダーという役割もありますが、PMOとの関係は記載がありません。名前が似ていることから、同じ役割と判断しません。

6. THINK — 全部「順調」の報告

PMOが、各チームの週次の報告をまとめています。すべてのチームが「順調」と報告してきました。一方で、課題・リスク管理表には、期限を過ぎたまま「対応中」の課題が増えています。PMOの担当者は次のように言っています。

「各チームが順調と言っているので、全体の報告も『順調』にします。」

問題

この判断でよいでしょうか。

判断例を開く

判断

そのまま「順調」とまとめるべきではありません。

確認すること:

  • 各チームの「順調」は、何を根拠にしているか
  • 期限を過ぎた課題は、どのチームの、どの作業に関係しているか
  • 報告と課題の一覧が食い違っている理由を、各チームに確かめたか
  • 食い違いがあることを、判断する人に伝えているか

PMOの価値は、報告をそのまま束ねることではなく、別々の情報を突き合わせて、見えていないことを見えるようにすることにあります。状況の報告の書き方は PRG-010 で学びます。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

問題の管理のしかたは 03-05 プロジェクトの問題をどう管理するか、会議の設計は 03-04 会議だらけにならないための会議設計 で学びます。

9. AI WORKFLOW — 報告と一覧の突き合わせを手伝わせる

AIは、PMOが扱う大量の報告と一覧を突き合わせる下書きに役立ちます。

指示例:

「次の各チームの週次の報告と、課題・リスク管理表を比べ、①報告では問題がないとされているが、期限を過ぎた課題があるチーム、②担当または期限がない課題、③同じ内容と思われる課題、を挙げてください。チームの状況を評価したり、全体を『順調』『遅れ』と判断したりしないでください。」

10. REVIEW — AIの突き合わせを確認する

  • AIが挙げた食い違いを、元の報告と一覧で確かめたか
  • AIが、チームの状況の評価や、全体の判断をしていないか
  • 食い違いの理由を、人が各チームに確かめたか

ADVANCED深掘り — 実務者向けに一段深く

深掘り — PMO の 3 つの型と、価値の測り方

型を決めてから作る

PMO の役割は、プロジェクトごとに幅があります。世界で共有されている分け方では、3 つの型があります。

  • 支援型:様式や手順を用意し、求めに応じて助ける。強制はしない
  • 管理型:様式や手順の使用を求め、守られているかを確かめ、状況をまとめて報告する
  • 指揮型:各チームの管理そのものを PMO が担い、プロジェクトの責任者の代理として動く

どの型かを決めずに PMO を置くと、チームは「お願い」なのか「決まり」なのかが分からず、PMO は「どこまで言ってよいか」で迷います。型は、プロジェクトの初めに責任者が決め、体制図に添えます。

型は途中で変えてよい

初めは支援型で始め、チームや会社がそろってから管理型に移す、という進め方もあります。変えるときは、何が変わるか(守ってもらう決まり、報告の頻度)を全チームに伝えます。黙って強めると、反発だけが残ります。

PMO の価値を測る

PMO は「報告書を作った数」では測れません。測るのは、PMO があることで良くなるはずのものです(教材上の例)。

  • 状況の鮮度:報告の時点から、責任者が見るまでの日数
  • 課題の動き:担当・期限のない課題の数、期限を過ぎたまま動いていない課題の数
  • 決まりの定着:全チームが同じ様式で出している割合
  • 判断の材料:判断の場に出した案件のうち、その場で決まった割合

これらが良くなっていないなら、PMO の仕事の中身を見直します。

現場で確かめる問い

  • PMO の型(支援・管理・指揮)は決まっているか。チームはそれを知っているか
  • PMO の決まりは「お願い」か「決まり」か。守られていないとき、誰が何をするか
  • PMO の価値を、報告書の数以外で測っているか。何で測るか
  • PMO の人数と仕事の範囲は、プロジェクトの規模に見合っているか。どこで無理が出ているか

アステリア案件の PMO の型、人数、価値をどう測ったかは、正本に記録がありません。記録なし

11. 人間が判断すること

  • PMOに何を担わせるか(仕事の範囲)
  • 報告と一覧の食い違いを、どう判断する人に伝えるか
  • 上がってきた課題・変更をどう決めるか(プロジェクトの責任者・スポンサーなど、決める立場の人が判断する)

12. 判断演習

あなたは、新しく作られたPMOの担当です。

最初の1か月で、全チームにそろえてもらう決まりを3つだけ選ぶとしたら、何を選びますか。選んだ理由も書いてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

PMOは、進め方をそろえ、状況を見えるようにし、判断が必要なことを届ける組織です。

判断そのものは、判断する立場の人が行います。PMOは、見えたことをありのまま届けます。

次に読むもの

本文で参照している成果物:PRG-006 課題・リスク管理表、PRG-010 プロジェクト状況報告書、PRG-008 変更管理台帳、PRG-005 全体スケジュール

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手