ARC-002

目標システム構成説明書

分類:ARCHITECTURE実物サンプルあり

これは何か

目標システム構成説明書は、刷新後に目指すシステム全体の姿(どのシステムが何を担当し、どうつながり、どこに置かれるか)と、なぜその形を選んだのか、今の姿からどの順番で移るのかを、文章で説明した成果物です。

ARC-001 システム全体構成図 が「一枚の絵」なら、この説明書は「絵の読み方と、その絵を選んだ理由」です。絵だけでは、なぜ一つの巨大なシステムにしなかったのか、なぜ連携の基盤を間に置くのか、今のシステムはいつ止めるのかが伝わりません。関係者(経営層・業務部門・各ベンダー・運用)が同じ理解を持つために書きます。

なぜ作るか

誰が使うか・いつ作るか

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

目標構成に関係する記載

  • システムは 11:SYS-01 新基幹システム、SYS-02 財務会計システム FIN-CORE、SYS-03 勤怠・工数管理SaaS、SYS-04 営業管理システム、SYS-05 人事マスターシステム、SYS-06 システム連携基盤、SYS-07 BI基盤、SYS-08 認証・ID基盤、SYS-09 開発・CI/CD基盤、SYS-10 AI開発エージェント、SYS-11 監視・ログ基盤
  • 正本で個別に定義された連携は 12(IF-01〜IF-12)。プロジェクト全体では約36本のシステム連携
  • データ正本:顧客・契約は営業管理システム、社員・組織は人事マスター、工数は勤怠・工数管理SaaS、案件・案件予算・案件原価・請求は新基幹、正式な会計残高・仕訳は FIN-CORE、経営分析は BI
  • ベンダーの担当範囲:Vendor A ネクサスシステムズ — 新基幹アプリケーション、Vendor B クラウドブリッジ — クラウド基盤、ネットワーク、IAM、連携、CI/CD、監視、Vendor C ファイナンスシステムサービス — FIN-CORE、会計連携、Vendor D タイムリンク — 勤怠・工数管理SaaS
  • P-008 黒田 健 — システムアーキテクト

各システムの方式(作るか、買うか、今のものを残すか)、置き場所(クラウドか自社か)、目標の姿へ移る順番は、正本に記載がありません。未確定 上の人物がこの説明書を書いた、承認したという記載もありません。未確定

主な項目

一般的には、次の項目で構成します。

  1. 目的と前提:刷新で実現すること(BUS-002 システム投資企画書)と、守る制約(期限・費用・法令・既存契約)
  2. 今の姿と目標の姿:システムの一覧と担当範囲を、今と目標で並べる。残すもの・作り直すもの・買い替えるもの・やめるもの
  3. 分け方の判断:なぜその単位で分けたか。一つにまとめなかった理由、分けすぎなかった理由
  4. つなぎ方の方針:直接つなぐか、連携の基盤を通すか。同期か非同期か。データの持ち主(データ正本)との関係(DAT-001 データ一覧・管理責任表)
  5. 置き場所と基盤:どこで動かすか、認証・監視・開発の基盤をどう共有するか(ARC-007 環境・配置構成図)
  6. ベンダーの境目:どのシステム・どの連携を、どの会社が担当するか(ARC-003 システム責任分担表)
  7. 移る順番:どの順で作り、いつ切り替え、いつ古いものを止めるか。並行して動く期間
  8. 判断の記録への参照:大きな判断ごとに、設計判断記録の番号

教材用サンプル成果物の読み方を学ぶための例

教材用サンプル — 今の姿と目標の姿の並べ方

この成果物は学習用サンプルです。FROZEN正本に記載されたCASE FACTと、成果物の読み方を学ぶための教材用サンプル値を区別して表示しています。

次の表は、説明書の書き方を学ぶための例です。システム名は正本のものを使っていますが、「今の姿」「方式」「移る順番」の値は教材上の架空の例で、アステリア案件の記録ではありません。

領域 今の姿(教材上の例) 目標の姿 方式(教材上の例) 判断の記録
案件・請求 部門ごとの表計算と古い個別システム SYS-01 新基幹システム 作る 判断-03
会計 既存の会計パッケージ SYS-02 FIN-CORE 残して連携する 判断-05
工数 月 1 回の紙と表計算 SYS-03 勤怠・工数管理SaaS 買う(SaaS) 判断-07
システム間のつなぎ 個別につないだ連携が多数 SYS-06 システム連携基盤を経由 作る(基盤) 判断-04
段階(教材上の例) 動き出すもの 止めるもの 並行して動く期間 前提
第 1 段 認証・ID 基盤、連携基盤、監視 なし なし 基盤がそろってから業務システムを載せる
第 2 段 新基幹(案件・原価) 部門の表計算 1 か月 工数の連携が先に動いていること
第 3 段 新基幹(請求)と会計への連携 古い個別システム 2 か月分の月次処理 移行データの照合が終わっていること

読み方

  1. 目標の姿だけでなく、今の姿が書かれているか(差分が分かるか)
  2. 分け方・つなぎ方の判断に理由があり、判断の記録につながっているか
  3. データの持ち主と、システムの担当範囲が矛盾していないか(同じデータを 2 か所が「正」にしていないか)
  4. ベンダーの境目が、システムの境目と合っているか。境目の連携を誰が担当するかが書かれているか
  5. 移る順番に前提が書かれているか。「全部いっせいに」になっていないか

書き方

  1. 今の姿を先に書く。何が困っているかは現状課題一覧(BUS-001 現状課題一覧)から引く
  2. 目標の姿を、システムの単位と担当範囲で書く。絵(ARC-001)と対応させる
  3. 大きな判断(分ける・まとめる・買う・作る・残す)ごとに、選択肢と理由を設計判断記録に書き、本書から参照する
  4. 移る順番を、前提と並行期間つきで書く。移行とデータの計画の担当と読み合わせる
  5. 各ベンダーと業務部門に読んでもらい、「自分の担当の言葉で説明できるか」を確かめる

何を書いてはいけないか

どこを見るか

  1. 今の姿と目標の姿の差分
  2. 分け方・つなぎ方の理由と、判断の記録
  3. データの持ち主とシステムの担当の整合
  4. ベンダーの境目と、境目の連携の担当
  5. 移る順番と前提

赤信号

  • 説明書が「目標の絵」の説明だけで、なぜその形かが書かれていない
  • 同じデータについて、2 つのシステムがどちらも「正」と書かれている
  • ベンダーの境目に当たる連携の担当が空欄のまま
  • 移る順番が「本番切替の日にすべて切り替える」の一文だけで、前提や並行期間がない

よくある失敗

関係するUnit・成果物・危機演習

AI WORKFLOW

AIは、説明書と全体構成図・責任分担表・データ一覧の間の食い違いを探す下書きに役立ちます。

「次の目標システム構成説明書と、システム全体構成図の説明文、システム責任分担表、データ一覧を読み比べ、システムの名前・担当範囲・データの持ち主・連携の担当について、文書の間で食い違っている箇所を一覧にしてください。どちらが正しいかは判断せず、食い違いの箇所と該当する文だけを示してください。」

REVIEW

  • AIが挙げた食い違いが、本当に食い違いか(表現の違いだけではないか)を元の文書で確かめたか
  • AIが「正しい方」を決めていないか。どちらに合わせるかは人が決める
  • 設計文書を AI に渡してよいか(契約・機密の扱い)を事前に確かめたか

人間が判断すること

  • 一つにまとめるか、分けるか。どの単位で分けるか
  • どのシステムを作り、買い、残し、やめるか
  • 移る順番と、並行して動かす期間

設計承認は、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。

いつ使うか

この教材では STAGE 05|全体設計を作る の文脈で扱います。 アステリア案件での正式な作成・使用時期(月)は正本に記載がないため、未確定としています。

最後の問い

この説明書を読んだ関係者は、「新しい全体像は何が今と違い、なぜその形を選び、どの順番でそこへ移るのか」を、自分の担当の言葉で説明できますか?

学習上の接続

教材上の学習接続です。成果物とUnitの正式な対応表はbaselineにないため、正式な関連付けとしては登録していません。

  • Stage:未確定(baselineに対応表なし)
  • 危機演習:未確定(baselineに対応表なし)
  • 人物:未確定(baselineに対応表なし)