Unit 05-03(STAGE 05 の 3 / 8)

一つの巨大システムにするか分けるか

学習状況:未着手

このユニットの結論

システムを1つにまとめるか、いくつかに分けるかに、どちらが常に正しいという答えはありません。

まとめると「つなぐ手間」が減る代わりに「変える・直すときの影響」が大きくなり、分けると「影響」を小さくできる代わりに「つなぐ手間と、つなぎ目の責任」が増える。この取り引きを、業務・組織・会社の分担に照らして判断し、理由を記録します。

1. 何の話か

このユニットは、システムの分け方の話です。

大規模な基幹システムの刷新では、「全部を1つの大きなシステムで作る」か、「会計・勤怠・営業などを別々のシステムにして、つなぐ」かを決める必要があります。この判断は、あとから変えるのが難しく、プロジェクトの体制や費用、連携の数にも大きく影響します。

2. なぜ必要か

分け方を深く考えずに決めると、

ということが起きます。

3. このユニットで分かること

4. まとめる場合と分ける場合

1つにまとめる いくつかに分ける
データ 1か所にあり、そろえやすい システムごとにあり、データの正本(どこを正とするか)を決める必要がある
つなぐ手間 少ない 連携を作り、管理する必要がある
変える・直すとき 影響が全体に広がりやすい 影響をそのシステムの中に抑えやすい
作る体制 1つのチーム・1社に集まりやすい システムごとに、別のチーム・別の会社が担当できる
既製品の活用 作り込みが多くなりやすい 分野ごとに既製品やクラウドのサービス(SaaS)を使いやすい

どちらにも長所と短所があります。分けるなら、つなぎ目(連携)と、つなぎ目の責任を、同じくらい大事に設計する必要があります(05-04・05-06)。

5. 分け方を決める観点

一般的には、次の観点で考えます。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件の構成

  • システムは 11:SYS-01 新基幹システム、SYS-02 財務会計システム FIN-CORE、SYS-03 勤怠・工数管理SaaS、SYS-04 営業管理システム、SYS-05 人事マスターシステム、SYS-06 システム連携基盤、SYS-07 BI基盤、SYS-08 認証・ID基盤、SYS-09 開発・CI/CD基盤、SYS-10 AI開発エージェント、SYS-11 監視・ログ基盤
  • 約36本のシステム連携(正本で個別に定義されているのは IF-01〜IF-12)
  • Vendor 4社が、それぞれの担当範囲を持つ(Vendor A 新基幹アプリケーション、Vendor B クラウド基盤・連携・監視など、Vendor C FIN-CORE・会計連携、Vendor D 勤怠・工数管理SaaS)

アステリア案件では、システムは分けられています。しかし、なぜこの分け方にしたのか(判断の理由)は、正本に記載がありません。未確定 この教材では、分け方の理由を推測しません。構成図は ARC-001 システム全体構成図 で見られます。

6. THINK — 「全部を1つにすれば、連携はいらない」

(教材上の例)構想の会議で、次の意見が出ました。

「連携があると、つなぎ目で問題が起きます。会計も勤怠も営業も、全部を1つの大きなシステムにまとめれば、連携はいらなくなります。」

問題

この意見のとおり、全部を1つにまとめると決めてよいでしょうか。

判断例を開く

判断

連携が減るという長所だけで決めることはできません。

確認すること:

  • 1つにまとめると、一部を変えるときの影響とテストの範囲は、どれだけ大きくなるか
  • 勤怠や会計など、既製品やサービスで済む分野まで作り込むことになるか。その費用は
  • 1つのシステムを、1つのチーム・1社で作れる規模か
  • 他の会社のシステム(取引先など)との連携は、どちらにしても残るのではないか

連携の問題は、分けたことそのものより、つなぎ目の設計が足りないときに起きやすいものです。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

設計の判断を記録する理由は 05-05 設計判断をなぜ記録するのか で学びます。

9. AI WORKFLOW — 案ごとの長所・短所を整理させる

AIは、分け方の案を比べる材料の下書きに役立ちます。

指示例:

「次の業務の一覧と、分け方の2つの案について、案ごとに①必要になる連携、②変更のときに影響が広がる範囲、③担当の会社・チームの分け方、を表にしてください。どちらの案がよいかは判断しないでください。」

10. REVIEW — AIの整理を確認する

  • 表の連携が、業務の一覧から本当に導けるか
  • AIが、一般論で「分けるのが最近の主流」のような判断を混ぜていないか
  • 自社の業務・組織の事情を、人が加えて検討したか

11. 人間が判断すること

  • システムをどう分けるか(または、まとめるか)
  • 分け方と、会社・チームの担当範囲
  • 判断の理由を記録し、承認すること

設計承認は、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。

12. 判断演習

あなたは、システムの分け方を検討する担当です。

「勤怠の管理を、既製のサービスで行う」という案について、長所を2つ、短所(または確かめること)を2つ挙げてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

まとめるか分けるかは、つなぐ手間と、変えるときの影響の取り引きです。

分けるなら、つなぎ目とその責任を同じくらい大事に設計し、判断の理由を記録します。

次に読むもの

本文で参照している成果物:ARC-001 システム全体構成図、ARC-006 設計判断記録、ARC-004 システム連携一覧、ARC-003 システム責任分担表

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手