Unit 06-04(STAGE 06 の 4 / 7)

どこまでデータを失ってよいのか

学習状況:未着手

このユニットの結論

大きな障害のあと、システムは「ある時点のデータ」に戻して再開します。その時点より後に入力したデータは、戻らないことがあります。

業務ごとに「どの時点まで戻せればよいか」を決め、その時点に本当に戻せることを、バックアップの取り方と戻す訓練で確かめることが、データを守る要件の中身です。

1. 何の話か

このユニットは、非機能要件(06-01)のうち、障害のときに失ってよいデータの範囲の話です。

たとえば、午後3時に大きな障害が起き、システムを前の晩の状態に戻して再開したとします。朝から午後3時までに入力した受注や作業の記録は、システムの中から消えています。誰が、何を、どうやって入れ直すのか。そもそも入れ直せるのか。これが「どこまでデータを失ってよいか」という問いです。

2. なぜ必要か

失ってよい範囲が決まっていないと、

ということが起きます。控えを取る間隔を短くするほど、費用と仕組みの手間は増えます。

3. このユニットで分かること

4. 「どの時点まで戻せればよいか」

障害のあと、どの時点のデータまで取り戻せればよいかの目標を、RPO(目標復旧時点)と呼びます(06-01)。

どれを選ぶかは、失ったデータを業務の側で取り戻せるかで考えます。

業務のデータ(教材上の例) 失ったときに取り戻せるか
紙の伝票をもとに入力したデータ 伝票が残っていれば入れ直せる
取引先から画面で直接受けた注文 取引先に問い合わせないと分からない
他のシステムから連携で受け取ったデータ 送り元から送り直してもらえるか次第

取り戻す手段がないデータほど、戻す時点を「直前」に近づける必要があります。

止まってよい時間(06-03)とは別の目標です。「すぐ戻るが、1日分を失う」ことも、「時間はかかるが、何も失わない」こともあります。2つを組み合わせて決めます。

5. 控えの取り方の違い

方法 考え方 注意点
定期的なバックアップ 決めた間隔で、データの控えを取っておく 前の控えから障害までの間のデータは失う
変更の記録を残す 控えに加えて、その後の変更を順に記録し、控えのあとに足していく 記録そのものを守る必要がある
別の場所へ写し続ける データを別の場所へ、ほぼ同時に写し続ける 誤った操作や壊れたデータも、そのまま写る

最後の点は見落とされがちです。別の場所へ写し続ける仕組みは、機器の故障や災害には強い一方、誤ってデータを消したときは、写した先でも消えます。そのため、写し続ける仕組みがあっても、前の時点に戻せる控えを別に持つのが一般的です。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件に関係する記載

  • 10年分のデータ移行
  • 約36本のシステム連携
  • Vendor B / クラウドブリッジの担当範囲に、クラウド基盤が含まれる

アステリア案件の業務ごとの目標復旧時点、バックアップの間隔・保管場所・保管期間、別の場所へ写す仕組みの有無は、正本に記載がありません。未確定 バックアップを誰が担当するかも、正本に記載がありません。未確定

6. 戻せることを確かめる

控えを取っていることと、控えから戻せることは別です。一般的には、次を確かめます。

最後の点は、システムが多くつながっているほど大切です。自分のシステムだけ前の晩に戻すと、その後に送り元から受け取ったデータや、送り先へ渡したデータとの間に食い違いが生まれます。どちらのデータを正しいとし、どう送り直すか(07-05)を、あらかじめ決めておきます。

7. THINK — 「クラウドだから消えない」

(教材上の例)データを守る目標を決める打ち合わせで、次の発言がありました。

「クラウドの上に置き、別の地域にも自動で写しているので、データが消えることはありません。バックアップの目標を別に決める必要はないでしょう。」

問題

この考えで、目標復旧時点を決めずに進めてよいでしょうか。

判断例を開く

判断

進めるべきではありません。

確認すること:

  • 誤って消した・上書きしたデータも、写した先で同じように消えないか
  • 前の時点に戻せる控えはあるか。どのくらい前まで戻せるか
  • 控えから戻す手順を、実際に試したことがあるか
  • クラウドの事業者が守る範囲と、自分たちが守る範囲はどこで分かれているか

写し続ける仕組みは、故障への備えの一つです。誤った操作や壊れたデータへの備えとは別に考えます。

8. よくある失敗

9. 成果物との接続

10. AI WORKFLOW — 業務ごとの「取り戻せるか」を整理させる

指示例:

「次の業務の一覧について、業務ごとに、①入力されるデータの元(紙・画面・連携など)、②失ったときに取り戻す手段の候補、③業務の担当に確かめる質問、を表にしてください。目標復旧時点やバックアップの間隔は提案しないでください。」

11. REVIEW — AIの整理を確認する

  • AIが、目標の時点や控えの間隔を書き足していないか
  • 「取り戻せる」とした手段が、実際に業務で使えるか、担当に確かめたか
  • 連携で受け取るデータの扱いが抜けていないか

12. 人間が判断すること

  • 業務ごとの目標復旧時点
  • 控えの間隔・保管場所と、それにかける費用
  • 戻したあとに失ったデータを入れ直す担当と方法

13. 判断演習

あなたの部署では、社外の研修の申し込みを画面で受け付けています(教材上の例)。

障害でこのシステムを前の晩の状態に戻したとき、何が起き、誰が何をする必要があるかを書き出してください。そのうえで、前の晩に戻す目標でよいかを考えてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

データの守り方は、「どの時点まで戻せればよいか」を業務ごとに決め、その時点に戻せることを訓練で確かめることです。

控えを取っているだけでは足りません。戻したあとに失ったデータを誰がどう取り戻すかまで決めておきます。

次に読むもの

本文で参照している成果物:REQ-003 非機能要件一覧、OPS-008 災害復旧計画・訓練結果、CUT-003 切り戻し計画書

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手