Unit 03-06(STAGE 03 の 6 / 7)

決定の遅さをどう測るか

学習状況:未着手

このユニットの結論

大規模なプロジェクトの遅れの多くは、作業の遅れではなく、決定の遅れから生まれます。

決めるべきことを一覧にし、起票から決定までの日数を測り、止まっている決定を毎週見えるようにすることで、遅れは「誰かが悪い」から「仕組みで動かせるもの」に変わります。

1. 何の話か

このユニットは、決定の速さを測り、遅い決定を仕組みで動かす話です。

03-03 誰が決め、誰が実行するのか では、決める人を決める大切さを学びました。決める人が決まっていても、決定は遅れます。情報が足りない、関係者の予定が合わない、誰も最初に手を挙げない。遅れを個人の責任にせず、測って見えるようにするのがこのユニットの主題です。

2. なぜ必要か

決定の遅さを測らないと、

ということが起きます。決定は作業と違って「進捗率」が見えにくいため、意識して測らないと管理から抜け落ちます。

3. このユニットで分かること

4. 決定を一覧にする

決めるべきことを、課題と同じように一覧にします。世界で共有されている考え方では、この一覧を「決定のバックログ」と呼びます。1 件ごとに次を持ちます。

項目 内容
決めること 問いの形で書く(「請求の締め日をいつにするか」)
決める人 役割で書く。承認が要るなら承認者も
期限 いつまでに決まらないと何が遅れるか(決めないことの影響)
必要な材料 決めるために要る情報と、誰が用意するか
選択肢 分かっている範囲の案
状態 材料待ち/議論中/決定済み/見送り
起票日・決定日 日数を測るための日付

決定の結果は PRG-007 意思決定記録 に残し、一覧の「決定済み」から記録へつなぎます。

5. 決定リードタイムを測る

決定リードタイムは、起票日から決定日までの日数です。一覧があれば自動で測れます。見るのは平均ではなく、分布と「止まっているもの」です。

毎週の会議で、止まっている決定を上位から順に見ます。会議の目的は「状況を聞くこと」ではなく、「次の 1 週間で何があれば決まるかを決めること」です。期限を過ぎた決定は、03-05 プロジェクトの問題をどう管理するか と同じ考え方で、一段上へ上げる基準を決めておきます。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件の決定に関する記載

  • P-003 西村 俊介 — プログラムマネージャー、P-004 田辺 彩 — PMOリーダー、P-002 高瀬 真理 — CIO/IT統括責任者、P-001 佐伯 隆志 — CFO/プロジェクトスポンサー
  • 成果物に PRG-007 意思決定記録、PRG-010 プロジェクト状況報告書 がある
  • 投資承認・要件確定・設計承認・セキュリティ例外承認・本番移行承認・Go / No-Go・重大障害判断は、AIへ最終委任しない事項

アステリア案件で決定の一覧が作られていたか、決定にどれだけの日数がかかったか、誰が何を決めたかは、正本に記録がありません。記録なし

6. THINK — 「作業は順調なので全体も順調」

状況報告の会議で、各チームが「作業は順調」と報告しました。PMO の担当者が次のようにまとめました。

「全チームが順調なので、全体も順調です。」

問題

このまとめで報告してよいでしょうか。

判断例を開く

判断

作業の順調さと、決定の順調さは別です。各チームが仮の前提で作業を進めているなら、決定が出た瞬間にやり直しが起きます。

確認すること:

  • 決定の一覧で、期限を過ぎて決まっていないものが何件あるか
  • そのうち、各チームが仮の前提で作業を進めているものはどれか
  • 止まっている理由は何か(材料待ち、議論中、決める人の不在)
  • 次の 1 週間で何があれば決まるか、誰がそれを用意するか

「作業は順調」の報告に、「決定は何件止まっている」を並べて初めて、全体の状況になります。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

9. AI WORKFLOW — 議事録から「決めるべきこと」を拾わせる

AIは、会議の議事録から、決まっていないまま残っている論点を拾い、決定の一覧の候補にする下書きに役立ちます。

指示例:

「次の議事録から、『決める必要があるが決まっていない論点』を抜き出し、論点ごとに、決める人として誰が言及されているか、期限が言及されているか、必要な材料が言及されているかを表にしてください。言及がない項目は空欄のまま示し、決める人や期限を推測しないでください。」

10. REVIEW — AIの抜き出しを確認する

  • 抜き出された論点が、議事録に実際にあるか
  • 「決まっていない」と読んだものが、別の会議で決まっていないかを人が確かめたか
  • 議事録を AI に渡してよいか(個人名・機密の扱い)を事前に確かめたか

11. 人間が判断すること

  • 決定の期限を、何の影響から決めるか
  • 止まっている決定を、いつ一段上へ上げるか
  • 材料が足りないまま、仮で決めるか、待つか

要件確定・設計承認などは、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。

12. 判断演習

あなたの職場で、最近「なかなか決まらなかったこと」を 1 つ思い出してください。

起票から決定までに何日かかったか(おおよそで構いません)、止まっていた理由は材料待ち・議論中・決める人の不在のどれだったか、「次の 1 週間で何があれば決まるか」を誰かが問うていたら何が変わったかを書いてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

遅れは決定から生まれる。決めるべきことを一覧にし、起票から決定までの日数を測り、止まっている決定を毎週動かす。作業の順調さと決定の順調さは別に報告する。

次に読むもの

本文で参照している成果物:PRG-007 意思決定記録、PRG-010 プロジェクト状況報告書

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手