DAT-003

データ移行方針書

分類:DATA重点成果物実物サンプルあり

これは何か

データ移行方針書は、古いシステムのデータを新しいシステムへ移すときの「考え方と決めごと」を、作業の前にまとめる成果物です。

どのデータを移すか、どの期間の分を移すか、どの方法で移すか、何回練習するか、何をもって「正しく移った」と判断するかを決めます。1行ずつの項目の対応(どの古い項目がどの新しい項目になるか)は、DAT-004 データ移行対応表で扱います。

なぜ作るか

データ移行は、ファイルをコピーする作業ではありません(11-01)。方針がないまま作業を始めると、

ということが起きます。

誰が使うか・いつ作るか

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

移行に関係する記載

  • 10年分のデータ移行
  • P-009 橋本 奈緒 — データ移行リーダー
  • データの正本(どのシステムのデータを正式なものとするか)の一部:
    • 顧客・契約:営業管理システム
    • 社員・組織:人事マスター
    • 工数:勤怠・工数管理SaaS
    • 案件・案件予算・案件原価:新基幹
  • M18 本番稼働

データの正本の全体と、データのつながり(最重要データチェーン)は、システム・連携 で確認してください。

移すデータの種類と量、移行元のシステム、移す方法、移行の練習の回数と時期、移行の完了の基準は、正本に記載がありません。未確定 「10年分」が、すべてのデータについて10年分を移すという意味か、どのデータを対象とするかも、正本からは分かりません。未確定

主な項目

一般的には、次の項目で構成します。

  1. 目的と前提:なぜ移すのか。新しいシステムで、どの業務を始めるのに必要か
  2. 対象と対象外:移すデータ、移さないデータ、その理由(11-02)
  3. 期間:どの期間の分を移すか。古い分はどう扱うか(参照用に残す、など)
  4. 正本:同じデータが複数のシステムにあるとき、どれを正とするか
  5. 方法:一度に移すか、分けて移すか。自動か、手作業を含むか
  6. データの品質:誤り・重複・欠けをどう見つけ、誰が直すか(11-04)
  7. 練習(リハーサル):何回、どの規模で練習するか(11-05)
  8. 確認(照合):何をもって正しく移ったとするか(11-06)
  9. 体制と判断:誰が作業し、誰が「移行してよい」と判断するか
  10. 戻す場合:移行に失敗したとき、どう戻すか

教材用サンプル成果物の読み方を学ぶための例

教材用サンプル — 対象と方法の決め方

この成果物は学習用サンプルです。FROZEN正本に記載されたCASE FACTと、成果物の読み方を学ぶための教材用サンプル値を区別して表示しています。

次の表は、データの種類ごとに方針を決める書き方の例です。期間・方法・確認の方法は、すべて教材上の架空の例で、アステリア案件の方針ではありません。

データの種類 移すか 期間の例 方法の例 確認の例 業務の確認者の例
顧客 移す 取引のある顧客すべて 自動で一括 件数と、主な項目の明細 営業の担当
案件 移す 進行中の案件すべてと、終わった案件の一部 自動で一括 件数と、状態ごとの件数 案件管理の担当
案件の履歴 一部 直近の数年分だけ。残りは参照用に保管 自動で一括 件数と、年ごとの件数 案件管理の担当
使われていない設定 移さない ― ― 移さないことの承認 業務の責任者
確認 基準の例(教材上の例)
件数 移す前と後で、件数の差がない。差がある場合はすべて理由がある
合計 数量・金額の合計の差がない。差がある場合はすべて理由がある
明細 決めた方法で抜き出した明細が一致する
業務の目線 業務の担当が、業務で使う画面・帳票で確かめた
例外 説明できない例外が残っていない

読み方

  1. 「移さないデータ」が書かれているか。移さない理由と、承認した人がいるか
  2. 期間の決め方が、業務の必要(何年前まで見る必要があるか)と対応しているか
  3. 同じデータが複数のシステムにあるとき、どれを正とするかが決まっているか
  4. 練習の回数と、練習で何を確かめるかが書かれているか
  5. 完了の基準が、件数だけになっていないか
  6. 「移行してよい」と判断する人が決まっているか

書き方

  1. 新しいシステムで業務を始めるのに必要なデータを、業務の担当と一緒に洗い出す
  2. データの種類ごとに、移す・移さない・一部を決め、理由を書く
  3. データの正本を確かめ、どのシステムから取り出すかを決める
  4. 方法・練習・確認の基準を決める
  5. 業務の担当とプロジェクトの責任者の承認を得る
  6. 練習の結果で見直し、変えたところと理由を残す

何を書いてはいけないか

どこを見るか

  1. 対象と対象外、それぞれの理由と承認
  2. データの種類ごとの期間
  3. データの品質の問題を、誰が直すか
  4. 練習の計画と、練習ごとの見直しの記録
  5. 完了の基準と、判断する人

赤信号

  • 移さないデータの欄がない
  • 業務の担当の名前が、どこにもない
  • 練習の計画が「本番の前に1回」だけ
  • 完了の基準が「移行処理のエラーが0件」だけ
  • 古いデータの誤りを「移行したあとで直す」とだけ書いている

よくある失敗

関係するUnit・成果物・危機演習

AI WORKFLOW

AIは、方針書の抜けを探す下書きに役立ちます。

「このデータ移行方針書について、データの種類ごとに、①移す・移さないの判断、②期間、③確認の方法、④業務の確認者、が書かれているかを表にしてください。書かれていないものは空欄にし、内容を補わないでください。」

REVIEW

  • 表が、方針書の元の文と合っているか
  • AIが、移す範囲や期間を補っていないか
  • 空欄の項目を、誰がいつ決めるかを決めたか

人間が判断すること

  • 何を移し、何を移さないか
  • どのデータを正とするか
  • 移行の完了の基準と、「移行してよい」の判断

いつ使うか

この教材では STAGE 11|10年分のデータを新システムへ移す の文脈で扱います。 アステリア案件での正式な作成・使用時期(月)は正本に記載がないため、未確定としています。

最後の問い

この方針書を読んだ人は、「何を、どこまで、どの方法で移し、何をもって移行が終わったと言うか」を答えられますか?

学習上の接続

教材上の学習接続です。成果物とUnitの正式な対応表はbaselineにないため、正式な関連付けとしては登録していません。

  • Stage:未確定(baselineに対応表なし)
  • 危機演習:未確定(baselineに対応表なし)
  • 人物:未確定(baselineに対応表なし)