Unit 11-06(STAGE 11 の 6 / 8)

移行後に本当に合っているか確認する

学習状況:未着手

このユニットの結論

データ移行の確認は、「エラーなく終わった」ことの確認ではありません。

「移したデータが、業務の意味として旧システムと同じ状態になっているか」を、件数・合計・明細・業務の目線の順に、根拠をもって確かめることです。

1. 何の話か

このユニットは、データ移行の最後の確認である照合の話です。

照合とは、旧システムと新システムのデータを突き合わせ、合っているか、違うならなぜ違うのかを確かめる作業です。

経理の仕事にたとえると、残高を別の資料と突き合わせる残高確認に近い作業です。

2. なぜ必要か

移行の処理がエラーなく終わっても、

ということがあります。照合をしないと、こうした違いに本番稼働後に気づくことになります。

3. このユニットで分かること

4. 照合の段階

段階 確かめること(一般的な説明)
件数 移す前と移したあとで、件数が合うか
合計 金額や数量の合計が合うか
明細 1件ずつの内容が合うか(全件、または抽出して)
業務の目線 利用部門が、業務で使う画面や帳票で見て、意味が合っているか

件数が合うことは、最初の手がかりにすぎません。件数・合計・明細・業務の目線を、それぞれ別の確認として積み上げます。

5. 差が見つかったら

差が見つかったら、すぐに直すのではなく、まず理由を確かめます。

理由が分かるまでは、「差がある」という事実を記録し、判断する人に上げます。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件に関係する記載

  • 10年分のデータ移行
  • P-009 橋本 奈緒 — データ移行リーダー
  • データの正本:正式な会計残高・正式な会計仕訳は FIN-CORE
  • 成果物に DAT-003 データ移行方針書、DAT-006 データ移行リハーサル結果、DAT-007 データ照合報告書がある

アステリア案件の移行の件数・照合の結果は、このユニットでは扱いません。危機演習の事実は、危機演習の中で扱います。

6. THINK — 見本の数件が合っていた

移行の結果から、担当者が見本として数件を選び、画面で見比べたところ、すべて合っていました。

問題

これで「移行したデータは合っている」と判断してよいでしょうか。

判断例を開く

判断

まだ判断できません。

確認すること:

  • 件数と合計は、全体で合っているか
  • 見本の選び方に、偏りはないか(古い年のデータ、例外的な取引などが含まれているか)
  • 利用部門が、業務で使う帳票の目線で確かめたか
  • どの確認を、誰が、どの根拠で行ったかを記録したか

数件の見本は、全体が合っていることの証明にはなりません。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

危機演習 CR08 では、移行後の照合で見つかった問題を体験します(学習上の接続です。正式な対応関係ではありません)。

9. AI WORKFLOW — 差の候補を整理させる

AIは、大量の照合結果から、差のある箇所を分類するのに役立ちます。

指示例:

「次の照合結果を、件数の差・合計の差・明細の差に分け、差のある区分・期間・種類ごとに集計してください。差の理由は推測で決めず、確認が必要な点として示してください。」

10. REVIEW — AIの整理を確認する

  • 旧新のどちらのデータを、どの時点で抽出したものか
  • AIが差の理由を、もっともらしく決めつけていないか
  • 集計の条件(期間・区分)が、照合の条件と合っているか

ADVANCED深掘り — 実務者向けに一段深く

深掘り — 照合の多層化と、差異の分類

層を重ねる

件数が合うことは、最初の層にすぎません。次に項目ごとの合計(金額、数量)を合わせます。さらに、内容を短い値に要約したもの(ハッシュ)を行ごとに比べると、合計が同じでも中身が違う行が見つかります。最後に、無作為に抜き出した明細を人の目で突き合わせます。層ごとに見つかる誤りの種類が違うので、どれか 1 つでは足りません。

差異を分類してから対応する

見つかった差異は、原因で分けます。移行の処理の誤り、元のデータの誤り、新旧で定義が違うこと、取り込みのタイミングのずれ。分類ごとに対応が違います。直すもの、直さずに説明を残すもの、定義を決め直すもの。分類せずに「全部直す」と、直してはいけないもの(元のデータの事実)まで変えてしまいます。

許容する差異を先に決める

すべての項目で「差異ゼロ」を要件にできるとは限りません。何をどこまで許容し、誰が承認するかを、照合の前に決めておきます。あとから決めると、期限に合わせて基準が緩みます。

自動化して記録を残す

照合はリハーサルと本番で何度も行います。手作業では毎回結果が変わり、比べられません。自動化し、いつ・どの層で・何件の差異が出て・どう分類したかを記録に残します。

現場で確かめる問い

  • 照合は件数だけか。合計、行ごとの要約、抜き出した明細の突合まで行っているか
  • 見つかった差異を、原因で分類しているか。分類ごとの対応(直す・残す・定義し直す)が決まっているか
  • 許容する差異の基準と承認者を、照合の前に決めたか
  • 照合の結果は自動で残り、リハーサルと本番で比べられる形になっているか

アステリア案件で照合をどの層まで行い、何を許容したかは、正本に記録がありません。記録なし

11. 人間が判断すること

  • 差の理由を、正式な説明として認めるか
  • 差を直すか、差があることを受け入れるか
  • 照合の結果から、本番切替へ進んでよいか

12. 判断演習

あなたは、照合の結果を判断する人に報告します。

報告に入れる項目を、上の4段階(件数・合計・明細・業務の目線)に沿って書き出してください。差が見つかった場合に書くことも加えてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

移行の確認は、件数・合計・明細・業務の目線を積み上げて行います。

差が見つかったら、数字を合わせる前に、理由を確かめます。

次に読むもの

本文で参照している成果物:DAT-007 データ照合報告書、DAT-006 データ移行リハーサル結果、DAT-003 データ移行方針書

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手