Unit 13-05(STAGE 13 の 5 / 7)

障害を再発させない

学習状況:未着手

このユニットの結論

障害の再発防止は、振り返りの報告書を書き終えたところでは終わりません。

人を責めずに「なぜ起きたか・なぜ早く気づけなかったか」を掘り下げ、仕組みで防ぐ対策を選び、実施されて効いたことを確かめ、同じ弱点を持つほかの場所にも広げるところまでが再発防止です。「注意を徹底する」だけでは、同じ障害はまた起きます。

1. 何の話か

障害が落ち着き、業務も元に戻りました。関係者はほっとして、それぞれの仕事に戻っていきます。

数か月後、よく似た障害がまた起きました。前回の振り返りで決めた対策は、担当も期限もあいまいなまま、手付かずでした。

このユニットは、そうならないための再発防止の話です。障害が起きたときの動き方は 13-01〜13-04 で学びました。ここでは、障害が落ち着いたあとに何をするかを考えます。

2. なぜ必要か

再発防止が形だけになると、

ということが起きます。

3. このユニットで分かること

4. 振り返りの進め方

振り返りは、障害報告書(OPS-005)に残した事実をもとに、復旧のあと、記憶と記録が新しいうちに行います。一般的には、次の問いを順に考えます。

  1. なぜ起きたか:証拠で確かめた原因と、その背景
  2. なぜ早く気づけなかったか:監視や確認のどこに抜けがあったか
  3. なぜ影響が大きくなったか:影響を小さく抑える手段はなかったか
  4. うまくいったことは何か:次も続けたいこと
  5. 何を変えるか:対策と、担当・期限

大切なのは、「担当者が間違えた」で止めないことです。「なぜ間違えられる状態だったのか」「なぜ間違えても止まらなかったのか」と、人ではなく仕組みに向けて問いを続けます。人を責めない振り返りは、英語で「ブレームレス(blameless)」と呼ばれることがあります。

5. 再発防止策の種類

対策にはいくつかの種類があり、効きやすさが違います。一般的には、上の行ほど人の注意に頼らずに済みます。

種類 考え方 例(教材上の例)
起きないようにする 誤りそのものが起きない作りにする 入力の値をシステムで確かめる。手作業を自動にする
早く気づく 起きても、すぐに分かるようにする 監視を足す(OPS-002)
広がりを抑える 起きても、影響を小さく止める 処理を途中で止められるようにする
手順と訓練 人が正しく動けるようにする 手順書を直す(OPS-003)。訓練する
確かめを増やす 本番に出る前に見つける テストや確認の観点を足す
注意を呼びかける 気をつけるよう伝える 周知のメール

「注意を呼びかける」だけの対策は、ほとんど効きません。ほかの種類と組み合わせます。

6. 対策が効いたかを確かめる

対策には、2段階の確かめがあります。

確かめる時期と方法は、対策を決めるときに一緒に決めます。対策は課題として一覧で管理し(PRG-006 課題・リスク管理表)、閉じる前に「効いたか」を確かめます。

7. 横に広げる

障害の原因となった弱点は、ほかの場所にもあることがあります。同じ手順書のひな形を使っている処理、同じ設定の仕方をしている仕組みなどです。

振り返りでは、「ここ以外に、同じ弱点を持つところはないか」を問い、探す範囲と担当を決めます。これを「横展開」と呼ぶことがあります。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件に関係する記載

  • M18 本番稼働、M21 初期安定化完了
  • システムに SYS-11 監視・ログ基盤がある
  • P-011 山下 恵 — 本番移行・運用リーダー
  • 成果物に OPS-006 障害振り返り報告書がある
  • AIへ最終委任しないことに「重大障害判断」がある

アステリア案件の本番の障害の振り返りの内容、決めた再発防止策、振り返りを誰が進めるかは、正本に記載がありません。未確定

8. THINK — 「今後は注意を徹底します」

(教材上の例)ある夜間処理で、担当者が手順を1つ飛ばしたため、翌朝の業務の開始が遅れました。振り返り報告書の下書きには、次のように書かれています。

「原因:担当者が手順を1つ飛ばした。対策:今後は注意を徹底する。」

問題

この下書きで、再発防止になるでしょうか。

判断例を開く

判断

なりません。問いが「人」で止まっています。

確認すること:

  • なぜ手順を飛ばせたのか(手順書が分かりにくい、確認の欄がない、など)
  • 飛ばしたことに、なぜその場で気づけなかったのか
  • 手順を自動にしたり、飛ばすと先へ進めない作りにしたりできないか
  • 同じ書き方の手順書が、ほかの処理にもないか
  • 対策の担当・期限と、効いたかを確かめる時期

担当者を責めても、次の担当者が同じところでつまずきます。

9. よくある失敗

10. 成果物との接続

11. AI WORKFLOW — 過去の振り返りを横断して読ませる

AIは、たくさんの振り返り報告書を読み比べ、繰り返しを見つける下書きに役立ちます。

指示例:

「次の振り返り報告書を読み、①対策が注意の呼びかけだけのもの、②担当または期限のない対策、③効いたかの確認が空欄の対策、④似た原因が書かれている報告書の組、を挙げてください。原因を新しく推定したり、対策を決めたりしないでください。」

12. REVIEW — AIの読み比べを確認する

  • AIが「似ている」とした組を、人が元の報告書で確かめたか
  • AIの要約で、確かめきれていない原因が確定したように書かれていないか

13. 人間が判断すること

  • 原因を確定したと判断するか
  • どの対策を採用し、誰に、いつまでに任せるか
  • 対策が効いたと判断して閉じるか
  • 同じ弱点を、どの範囲まで探すか

14. 判断演習

(教材上の例)振り返りで、次の3つの対策が決まりました。

  • 夜間処理の終了を知らせる監視を足す
  • 手順書に確認の欄を足す
  • 同じ手順書のひな形を使っているほかの処理を点検する

それぞれについて、「実施されたか」と「効いたか」を、いつ、何で確かめるかを書いてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

再発防止は、仕組みで防ぐ対策を選び、効いたことを確かめ、同じ弱点をほかでも探すところまでです。

問いを「人」で止めず、「なぜその状態だったのか」まで続けます。

次に読むもの

本文で参照している成果物:OPS-006 障害振り返り報告書、OPS-005 障害報告書、OPS-002 監視・アラート一覧、OPS-003 運用手順書、PRG-006 課題・リスク管理表

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手