Unit 12-07(STAGE 12 の 7 / 7)

切替当日を誰がどう指揮するか

学習状況:未着手

このユニットの結論

切替当日は、手順書どおりに作業が進むだけの日ではありません。

手順の進み具合を 1 か所に集め、予定との差を見て、「続けるか、戻すか」を決める人と、決める時刻をあらかじめ決めておく。当日に新しく決めるのは、その判断だけにします。それ以外は、前日までに決めておきます。

1. 何の話か

このユニットは、切替当日の進め方と、指揮の体制の話です。

12-05 誰が本番稼働を決めるのか で、稼働を決める人と判断の材料を学びました。このユニットは、その判断が行われる「当日」の運営を考えます。障害のときの指揮(13-03 障害対応を誰が指揮するのか)と似ていますが、切替当日は、計画した手順と時刻表があるという点が違います。

2. なぜ必要か

当日の指揮を設計しないと、

ということが起きます。

3. このユニットで分かること

4. 指揮所と役割

当日は、進み具合と判断を 1 か所に集めます。この場所(物理的な部屋でも、会議の回線でも)を指揮所と呼びます。

役割 すること しないこと
指揮役 全体の進み具合を見て、続けるか戻すかを決める。判断の時刻を守る 自分で作業する。個別の問題の調査に入り込む
進行役 手順書の項目ごとに、開始・完了・結果を記録し、予定との差を指揮役に伝える 判断する
連絡役 業務部門、経営層、ベンダーの窓口に、決めた時刻に状況を伝える 伝える内容を自分で決める(指揮役が決める)
各作業の責任者 担当の手順を実行し、開始・完了・問題を進行役に報告する 問題を抱え込む。報告せずに手順を変える
稼働を決める人 判断の時刻に、指揮役の報告と稼働判定の材料をもとに、稼働か戻すかを決める 作業の細部に入る

指揮役と稼働を決める人は、別の人にするのが一般的です。指揮役は現場の進行に集中し、稼働を決める人は業務と会社の観点で決めます。

5. 時刻表と、判断の時刻

時刻表は、手順書(CUT-002 本番切替詳細手順書)の項目ごとに、開始の予定時刻、所要時間、完了の予定時刻を並べたものです。リハーサルの実測から作ります。

判断の時刻は、「この時刻までに、ここまで進んでいなければ戻す」という時刻です。戻すには時間がかかるので、業務の開始から戻しの所要時間を引いた時刻が、最後の判断の時刻になります。この時刻を過ぎてから戻すことはできません。判断の時刻は複数置きます(データの移行が終わる時刻、連携の確認が終わる時刻、最後の判断の時刻)。

判断の材料は、稼働判定の資料(CUT-005 本番稼働判定資料)に前日までに書いておきます。当日に加わるのは「手順がどこまで進んだか」「確認の結果はどうだったか」だけです。

当日の連絡の決まりは、報告の経路(各作業の責任者 → 進行役 → 指揮役)、報告の頻度(決めた時刻ごと、問題が起きたら即時)、社外への連絡の文面の雛形、を前日までに決めます。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件の切り替えに関する記載

  • M18 本番稼働
  • 成果物に CUT-002 本番切替詳細手順書、CUT-003 切り戻し計画書、CUT-005 本番稼働判定資料 がある
  • P-011 山下 恵 — 本番移行・運用リーダー、P-001 佐伯 隆志 — CFO/プロジェクトスポンサー
  • 本番移行承認、Go / No-Go は、AIへ最終委任しない事項

アステリア案件の切替当日の指揮の体制、時刻表、判断の時刻は、正本に記録がありません。記録なし 上の人物が当日の指揮役や稼働を決める人であったという記載もありません。記録なし

6. THINK — 「手順書どおりに進めれば、指揮は要らない」

切り替えの準備の会議で、ある担当者が次のように言いました。

「手順書は詳細にできていて、リハーサルも 3 回やりました。当日は各担当が手順書どおりに進めれば済むので、指揮所のような大げさな体制は不要です。」

問題

手順書とリハーサルがあれば、当日の指揮は不要でしょうか。

判断例を開く

判断

手順書は「うまくいくとき」の道筋です。指揮は「うまくいかないとき」のためにあります。

確認すること:

  • 予定より遅れたとき、誰が、いつ、「続けるか戻すか」を決めるか。それは手順書に書いてあるか
  • 遅れに気づく仕組みはあるか。各担当が自分の作業に集中していると、全体の遅れは誰も見ていない
  • 問題が起きた担当は、誰に、いつ報告するか。報告先がないと、自力で解決しようとして時間が過ぎる
  • リハーサルで、「戻す」判断を実際に行ってみたか。手順だけでなく、判断の練習をしたか
  • 業務部門と経営層への連絡は、誰が、いつ行うか

指揮所は大げさな体制ではなく、「全体の進み具合を 1 か所で見る」ための最小の仕組みです。それがないと、遅れは業務が始まる直前に発覚します。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

9. AI WORKFLOW — 進行の記録と差の整理を手伝わせる

AIは、進行役が記録した開始・完了の時刻と時刻表を突き合わせ、予定との差を整理する下書きに役立ちます。

指示例:

「次の時刻表(項目、開始予定、完了予定)と、進行の記録(項目、開始実績、完了実績、結果)を突き合わせ、項目ごとの予定との差と、未完了の項目を表にしてください。続けるか戻すかの判断や、遅れの原因の推定はしないでください。」

10. REVIEW — AIの整理を確認する

  • AIの突き合わせが、進行の記録と合っているか(記録の抜けを AI が埋めていないか)
  • 差の表を、指揮役が判断の時刻の前に見たか
  • 当日の記録を AI に渡す手順を、前日までに決めてあったか(当日に初めて使わない)

11. 人間が判断すること

  • 続けるか、戻すか。判断の時刻
  • 稼働するか(稼働を決める人)
  • 業務部門と経営層に、いつ何を伝えるか

本番移行承認、Go / No-Go は、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。

12. 判断演習

「金曜の夜に止め、月曜の始業に新しいシステムで業務を始める」切り替えを考えてください。

戻すのに 6 時間かかるとして、最後の判断の時刻をいつにするか、その根拠とともに書いてください。また、最後の判断の時刻より前に置く判断の時刻を 2 つ選び、それぞれ何が終わっていなければ戻すかを書いてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

切替当日は、判断の日。進み具合を指揮所に集め、時刻表と判断の時刻を前日までに決め、当日は「続けるか戻すか」だけを決める。問題は抱え込まず、即時に報告する。

次に読むもの

本文で参照している成果物:CUT-002 本番切替詳細手順書、CUT-005 本番稼働判定資料

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手