このユニットの結論
連携が数十本になると、1本ずつの設計書だけでは全体を管理できません。
すべての連携を1つの一覧に並べ、番号・送る側・受け取る側・担当・状態を同じ形で管理することで、抜けや重複、止まったときの影響が見えるようになります。
1. 何の話か
このユニットは、STAGE 07「36本のシステム連携を管理する」のまとめとして、連携の一覧管理を扱います。
05-04 システム同士をどうつなぐのか では、連携1本ごとに決めることを学びました。ここでは、それを数十本まとめて管理する方法を考えます。
2. なぜ必要か
連携を一覧で管理していないと、
- 誰も把握していない連携が、あとから見つかる
- 同じデータを送る連携が、別々に2本作られる
- あるシステムを止めるとき、影響する連携を数え漏らす
- テストしていない連携が残ったまま、本番を迎える
ということが起きます。
3. このユニットで分かること
- 連携一覧に載せる項目
- 「正本で定義されている連携」と「まだ定義されていない連携」の扱い
- 一覧の点検で、AIが支援できることと人間が決めること
CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実
アステリア案件の連携の本数
- プロジェクト全体で約36本のシステム連携
- そのうち、正本で個別に定義されているのは IF-01〜IF-12 の12本
- 連携に関わるシステムには、システム連携基盤(SYS-06)と監視・ログ基盤(SYS-11)がある
約36本のうち、IF-01〜IF-12 以外の連携の名称・経路・内容は、正本に記載がありません。未確定 この教材では、定義されていない連携を想像で作りません。
4. 一覧に載せる項目(一般的な例)
| 項目 | 何を書くか |
|---|---|
| 番号 | IF-01 のような一意の番号 |
| 名称 | 何の連携か |
| 送る側・受け取る側 | どのシステムからどのシステムへ |
| 経由 | 連携基盤などを通るか |
| 方法・時刻 | API、ファイル、一括処理など。いつ動くか |
| 担当 | 送る側・受け取る側・途中の基盤の担当 |
| 状態 | 設計中・開発中・テスト済み・本番稼働など |
| 失敗時の扱い | 再送、通知先 |
列の名前はプロジェクトで決めます。大切なのは、全部の連携を同じ形で並べることです。
5. 「まだ決まっていない」も一覧に載せる
アステリア案件のように、全体の本数(約36本)は分かっていても、個別の中身が決まっていない連携があることは、実務でもよくあります。
その場合、一覧から外すのではなく、
- 本数の見込みと、決まっている本数を分けて示す
- 決まっていない連携は「未確定」として、誰がいつまでに決めるかを書く
ことで、決まっていないことが見えるようにします。
6. THINK — 一覧にない連携が見つかった
テストの途中で、連携一覧に載っていない連携が見つかりました。担当者同士の話し合いで追加されたものでした。
問題
動いているなら、そのままでよいでしょうか。
判断例を開く
判断
そのままにはしません。
確認すること:
- その連携は、どの業務のために必要か(要件とのつながり)
- 送る側・受け取る側・担当はだれか
- 失敗時の扱いは決まっているか
- テストの対象に入っているか
- 本番の監視の対象に入っているか
一覧に載せ、正式な手順で扱うかどうかを決めます。
7. よくある失敗
- 一覧を作ったが、更新されずに古くなる
- 担当者ごとに別の一覧を持っている
- 決まっていない連携を一覧から外し、存在を忘れる
- 状態の欄がなく、どこまで進んでいるか分からない
8. 成果物との接続
- ARC-004 システム連携一覧:すべての連携を同じ形で一覧にする
- ARC-005 システム連携処理図:連携の処理の流れを図にする
- PRG-009 依存関係一覧:作業やシステムの依存関係を整理する
相手のシステムが止まったときの扱いは 07-04 相手システムが止まっていたらどうするか、会社の境目の考え方は 05-06 ベンダー間の境界を設計する で学びます。危機演習 CR03 Vendor AとVendor Cが責任を押し付け合う は、連携に関わる2社の間で起きた状況を扱います(学習上の接続です。正式な対応関係ではありません)。
9. AI WORKFLOW — 一覧の抜けと重複を探させる
指示例:
「次の連携一覧と、システム全体構成図・設計書の一覧を比べ、①一覧にない連携の候補、②同じデータを送っているように見える連携、③担当・状態・失敗時の扱いが空欄の連携、を挙げてください。候補は推測として示し、一覧に追加しないでください。」
10. REVIEW — AIの結果を確認する
- 「一覧にない連携」の候補に、根拠の資料があるか
- 重複とされた2本が、本当に同じデータ・同じ目的か
- 古い設計書を材料にしていないか
11. 人間が判断すること
- 一覧にない連携を、正式な連携として認めるか
- 重複した連携を、どちらに寄せるか
- 決まっていない連携を、誰がいつまでに決めるか
12. 判断演習
あなたは連携一覧の管理を任されました。本番稼働の前に、一覧で必ず確かめることを3つ挙げてください。
考える観点:
- 全部の連携がテスト済みか
- 全部の連携に担当と失敗時の扱いがあるか
- 監視の対象になっているか
あなたの記録あなたの考え。事実ではありません
判断ノート
このユニットで覚えてほしいこと
連携は、全部を同じ形で一覧にして初めて管理できます。
まだ決まっていない連携も、「未確定」として一覧に残し、見えるようにします。