このユニットの結論
テストの目的は、「バグをゼロにすること」ではありません。
「要件どおりに動き、業務で使ってよいと判断できる根拠を集めること」です。
何を確かめれば判断できるかを先に決め、その根拠を記録として残します。
1. 何の話か
このユニットは、STAGE 10「本当に動くことを証明する」の入口として、テストの目的を考えます。
2. なぜ必要か
テストの目的があいまいだと、
- 件数の多いテストをこなすことが目的になる
- 重要な業務の確認が抜けたまま、「テスト完了」と報告される
- 見つかった不具合を、直すか・受け入れるかの判断ができない
ということが起きます。
3. このユニットで分かること
- テストで確かめること
- テストと要件のつながり
- テストの判断で、AIに任せてよいことと人間が決めること
4. テストで確かめること
一般的に、テストでは次を確かめます。
- 要件どおりか:決めた要件のとおりに動くか
- 業務で使えるか:実際の業務の流れの中で、困らずに使えるか
- 壊れにくいか:想定外の入力や、他のシステムの停止のときに、どう動くか
- 非機能を満たすか:速さ・利用人数・安全などの目標を満たすか
テストは、「動くことの証明」を少しずつ積み上げる作業です。
5. テストは要件から始まる
- 要件
- テストで確かめる内容
- テストケース
- 実施と結果
- 不具合の記録
- 判断
要件ごとに「どう確かめるか」を決めておくと、テストの抜けに気づけます(04-05 要件はどこからどこまで追跡するのか)。
CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実
アステリア案件に関係する記載
- 約1,500件の要件、約36本のシステム連携
- P-010 宮田 直人 — テスト・品質管理リーダー
- STAGE 10 のUnit:テストは何のためにするのか、小さい単位から全体へテストする、利用部門が確認するテスト、性能をどう確認するのか、障害の重大度をどう決めるのか、テストをいつ終了してよいのか
アステリア案件のテストの計画・件数・結果は、正本に記載がありません。未確定
6. THINK — テストケースは全部合格
用意したテストケースが、すべて合格しました。
問題
これで「業務で使ってよい」と言えるでしょうか。
判断例を開く
判断
まだ言えません。
確認すること:
- テストケースは、どの要件をどこまで確かめているか
- テストケースがない要件はないか
- 業務の流れを通して確かめたか(部分ごとの確認だけではないか)
- 他のシステムとの連携や、止まったときの動きを確かめたか
全部合格しても、確かめていないことは確かめていないままです。
7. よくある失敗
- テストの件数を、品質の指標として扱う
- テストケースを要件と結びつけない
- 不具合の記録に、再現の手順や影響が書かれていない
- 「念のため」のテストが増え、重要な確認に時間が回らない
8. 成果物との接続
- TST-001 テスト戦略書:何を、どの順で、どこまで確かめるかの方針
- TST-002 テスト計画・対象一覧:何をテストするかの一覧
- TST-003 障害管理表:見つかった不具合を記録し、追いかける
- REQ-004 要件追跡表:要件とテストのつながり
危機演習 CR05 開発が2か月遅延 では、報告された状況をどう読むかを体験します(学習上の接続です。正式な対応関係ではありません)。
9. AI WORKFLOW — テストケースの下書きと抜けの点検
AIは、要件からテストケースの下書きを作ったり、抜けを探したりするのに役立ちます。
指示例:
「次の要件について、正常な場合・境界の値・誤った入力・他システムが止まっている場合に分けて、テストで確かめる内容の候補を挙げてください。期待する結果が要件から決められない場合は、確認が必要な質問として示してください。」
10. REVIEW — AIの下書きを確認する
- 期待する結果を、AIが推測で決めていないか
- 業務の流れとして大事な確認が、抜けていないか
- 同じ内容のテストが重複していないか
11. 人間が判断すること
- どの要件を、どの深さで確かめるか
- 見つかった不具合を、直すか、受け入れるか
- テストの結果から、次の工程へ進んでよいか
12. 判断演習
あなたは、請求データを作る機能のテストを任されました。
「要件どおりか」「業務で使えるか」「壊れにくいか」「非機能を満たすか」の4つの観点ごとに、確かめたいことを1つずつ書いてください。
あなたの記録あなたの考え。事実ではありません
判断ノート
このユニットで覚えてほしいこと
テストは、使ってよいと判断する根拠を集める作業です。
何を確かめれば判断できるかを要件から決め、確かめていないことを見えるようにします。