これは何か
利用者受入テスト・終了判定報告書は、利用部門が業務の流れで新しい仕組みを確かめた結果と、「テストを終えてよいか」の判断とその根拠を、1つにまとめて残す成果物です。
受入テスト(10-03)の結果を「やりました」で終わらせず、どの場面を通せたか、何が残ったか、残ったものをどう扱うと決めたかを、後から読んでも分かる形にします。
なぜ作るか
- 業務に責任を持つ人が、自分たちで確かめたことを記録に残す
- 事前に決めた終了基準(10-06)に照らして、満たしたもの・満たさないものを並べる
- 残った問題を「受け入れて進む」と決めた場合に、誰が、どんな条件で受け入れたかを残す
- 本番稼働の判断(12-05)に、テストの側の材料として渡す
誰が使うか・いつ作るか
- まとめる人:テストの取りまとめ役と、受入テストを取りまとめる業務の担当
- 判断する人:業務の責任者(業務で使えるか)と、テストの終了を判断すると決められた人
- 使う人:本番稼働の判断の材料をそろえる人
- 一般的には、受入テストの期間中に結果を書き足し、終了の判断の直前に仕上げます。判断のあとは、判断の内容と条件を追記して確定します
- 誰が何を判断するかの分担は、プロジェクトによって異なります
CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実
受入テストに関係する記載
- 業務の担当として、P-005 藤本 遥(経理業務リーダー)、P-006 川村 美咲(プロジェクト管理業務リーダー)、P-007 松本 健太(営業・契約業務リーダー)がいる
- P-010 宮田 直人 — テスト・品質管理リーダー
- M18 本番稼働
- AIへ最終委任しないことに「Go / No-Go」がある
アステリア案件の受入テストの範囲・時期・参加者・結果、終了基準と終了の判断は、正本に記載がありません。未確定 上の業務の担当が受入を判断する役割を持つという記載もありません。未確定
主な項目
一般的には、2つの部分で構成します。
受入テストの結果の部分
- 確かめた業務の場面と、関係する業務の流れ(REQ-001 業務フロー図)
- 参加した人(役割)と、使ったデータの種類
- 場面ごとの結果(通せた・条件付きで通せた・通せない)
- 見つかったことを「不具合・要望・使い方の問題」に分けた数と、主なもの
- 計画していたのに確かめられなかった場面と、その理由
終了判定の部分
- 終了基準の項目ごとの状況(満たす・満たさない)と、根拠にした資料
- 残った問題と、回避策・直す予定・受け入れた人
- 判断の結果(終了・条件付き終了・継続)、判断した人、判断した日
- 条件付きの場合の条件と、それを誰がいつ確かめるか
教材用サンプル成果物の読み方を学ぶための例
教材用サンプル — 場面ごとの結果と終了判定
この成果物は学習用サンプルです。FROZEN正本に記載されたCASE FACTと、成果物の読み方を学ぶための教材用サンプル値を区別して表示しています。
内容はすべて教材上の架空の例で、アステリア案件の記録ではありません。
| 場面 | 業務の場面 | 参加した人(役割) | 結果 | 見つかったこと(不具合/要望/使い方) | 扱い |
|---|---|---|---|---|---|
| UAT-EX-01 | 案件の登録から報告まで | 案件の担当・業務の責任者 | 通せた | 0/2/1 | 要望は稼働後の改善候補へ |
| UAT-EX-02 | 作業時間の入力から承認まで | 各部署の入力者・承認者 | 条件付き | 1/0/3 | 不具合は回避策あり。手順書を直して再確認 |
| UAT-EX-03 | 承認の差し戻しと再申請 | 承認者 | 通せない | 1/0/0 | 直したあと、同じ場面をやり直す |
| UAT-EX-04 | 他部署への帳票の受け渡し | 受け取る部署の担当 | 未実施 | ― | 参加者の時間が取れず。実施するかを判断待ち |
| 終了基準の項目(教材上の例) | 状況 | 根拠にした資料 | 残りの扱い |
|---|---|---|---|
| 計画した場面をすべて実施した | 満たさない | 場面ごとの結果(UAT-EX-04 が未実施) | 実施するか、外すかを業務の責任者が判断 |
| 業務を止める不具合が残っていない | 満たさない | 障害管理表(UAT-EX-03 の不具合) | 直して再確認するまで継続 |
| 回避策のある不具合は、回避策を業務の側が了承した | 満たす | 障害管理表、了承の記録 | ― |
| 判断の結果 | ― | ― | 継続。再判断の日と判断する人を記入 |
読み方
- 場面が「業務の流れ」で選ばれているか。画面ごとの確認の寄せ集めになっていないか
- 「通せない」「未実施」の場面が、終了判定の部分に反映されているか
- 見つかったことが、不具合・要望・使い方の問題に分けられているか(要望が不具合に見えていないか)
- 終了基準の項目ごとに、根拠にした資料が書かれているか
書き方
- 受入テストの前に、確かめる場面と終了基準を決め、報告書の枠を作っておく
- 場面ごとに、実施した日・参加した人・結果・見つかったことを書き足す
- 見つかったことは、障害管理表(TST-003)の番号とつなぐ
- 終了の判断の前に、基準の項目ごとに状況と根拠をまとめる
- 判断のあとに、結果・判断した人・条件を追記する(あとで変えるなら版を分ける)
何を書いてはいけないか
- 判断する人が決める前に、報告書の中で「終了してよい」と書いてしまうこと
- 根拠にした資料のない「問題なし」
- 実施しなかった場面を、書かずに済ませること
ほかの成果物との違い
- TST-002 テスト計画・対象一覧:何を・いつ・誰が確かめるかの予定。この報告書は、その結果と判断
- TST-003 障害管理表:不具合を1件ずつ追いかける表。この報告書は、そこから終了の判断に必要なものを引いてまとめる
- TST-004 品質状況ダッシュボード:期間中の傾向を同じ見方で追う。この報告書は、ある時点の判断を記録する
- CUT-005 本番稼働判定資料:テスト・移行・切替・運用・業務の材料を集める資料。この報告書は、そのうちのテストの材料の1つ
どこを見るか
- 場面が業務の流れで選ばれ、業務の担当が参加しているか
- 終了基準が事前に決められ、項目ごとに根拠があるか
- 未実施・通せない場面の扱い
- 受け入れた問題と、受け入れた人・条件
- 判断した人と日付
赤信号
- 受入テストの参加者が、開発の担当だけになっている
- すべての場面が「通せた」だが、見つかったことの欄がすべて空
- 終了基準が、判断の直前に書き換えられている
- 条件付きの終了なのに、条件を確かめる人が書かれていない
よくある失敗
- 結果の数字だけを並べ、どの業務の場面を確かめたのかが分からない
- 要望を不具合と同じ扱いで数え、受入が進まないように見える
関係するUnit・成果物・危機演習
- Unit:10-03 利用部門が確認するテスト、10-06 テストをいつ終了してよいのか、12-05 誰が本番稼働を決めるのか
- 成果物:TST-002、TST-003、TST-004、CUT-005、REQ-001 業務フロー図
- 危機演習:この成果物を直接の題材にする危機演習はありません
AI WORKFLOW
AIは、場面ごとの記録と障害管理表を突き合わせる下書きに役立ちます。
「次の受入テストの記録と障害管理表を比べ、①結果が『通せない』『未実施』なのに終了判定の部分に出てこない場面、②障害管理表の番号がない見つかったこと、③根拠にした資料が書かれていない終了基準の項目、を挙げてください。テストを終了してよいかは判断しないでください。」
REVIEW
- AIが挙げた場面・項目を、人が元の記録で確かめたか
- AIが要望と不具合の区分を勝手に変えていないか
人間が判断すること
- 業務で使えると判断してよいか(受入の判断)
- 残った問題を受け入れるか、直すまで待つか
- テストを終了するか、条件付きで終えるか、続けるか
- 条件付きの場合の条件と、それを確かめる人
いつ使うか
この教材では STAGE 10|本当に動くことを証明する の文脈で扱います。 アステリア案件での正式な作成・使用時期(月)は正本に記載がないため、未確定としています。
最後の問い
この報告書を読んだ人は、「業務のどの場面を、誰が通して確かめ、何が残り、テストを終えてよいと誰が判断したのか」を答えられますか?