これは何か
稼働直後支援・運用引継ぎ計画は、本番稼働の直後に、ふだんより厚い支援の体制をどの期間、どう組むかと、その体制を縮めて通常の運用の担当へ引き継ぐ条件を、前もって決めておく成果物です。
稼働した直後は、利用者が新しい画面に慣れておらず問い合わせが増え、テストでは見つからなかった不具合も見つかります。開発した会社の担当がすぐそばにいれば早く対応できますが、いつまでもその体制を続けるわけにはいきません。「いつまで厚くするか」「何がそろえば運用の担当だけで回せるか」を決めておかないと、支援がずるずる続くか、問題が残ったまま体制だけが縮むことになります。
考え方は 14-01 稼働直後の集中対応期間 で学びます。本番稼働までの当日の流れは 12-02 システム停止から稼働まで のテーマで、この計画はその後の期間を扱います。
なぜ作るか
- 稼働直後の問い合わせと不具合に、早く対応できる体制を用意する
- 開発の担当が、いつまで、どの時間帯に待機するかを、各社と前もって合意する
- 通常の運用へ引き継ぐ条件を、日付ではなく状態で決める
- 引き継ぐもの(手順・未解決の不具合・問い合わせの記録・知識)の抜けをなくす
- 稼働後も続く改善(14-04 システムは完成しない)へつなぐ
誰が使うか・いつ作るか
- 作る人:本番移行・運用の責任者。開発の各社、運用の担当、業務の責任者が加わる
- 使う人:支援の体制に入る全員、問い合わせの窓口、引継ぎを受ける運用の担当
- 一般的には、本番切替の計画と並行して作り、本番稼働を判断する前に体制と引継ぎの条件を固めます。稼働後は、毎日の状況を見て、段階を進めるかを判断します
- アステリア案件の集中支援の期間・体制・窓口・引継ぎの条件は、正本に記載がありません。未確定
CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実
稼働直後に関係する記載
- M18 本番稼働
- M21 初期安定化完了
- P-011 山下 恵 — 本番移行・運用リーダー
- マルチベンダー:Vendor A / ネクサスシステムズ、Vendor B / クラウドブリッジ、Vendor C / ファイナンスシステムサービス、Vendor D / タイムリンク
- システムに SYS-11 監視・ログ基盤がある
M18 から M21 までの期間を、この計画の集中支援の期間と同じものとする記載は、正本にありません。未確定 「初期安定化完了」が何を条件に判断されたか、各社がいつまで支援の体制に入ったか、誰が引継ぎを判断したかも、正本に記載がありません。未確定 上の人物がこの計画を作った・承認したという記載もありません。未確定
主な項目
一般的には、次の項目で構成します。
- 期間と段階:集中支援の始まりと、段階の分け方(厚い体制 → 縮めた体制 → 通常の運用)
- 体制:段階ごとに、誰が、どの時間帯に待機するか。開発の各社・運用の担当・業務の相談役(業務に詳しく、利用者の質問に最初に答える人)
- 問い合わせの窓口:受け付ける場所、振り分けの決まり、記録の仕方
- 状況の確認と報告:毎日の確認の場、見る指標(問い合わせの件数と内容、不具合の件数と重さ、処理の結果)、報告先
- 初めて迎える処理の見張り:稼働後に初めて動く定期の処理(週・月・年ごとの処理)と、その日の体制
- 段階を進める条件:次の段階へ進んでよい状態
- 引き継ぐもの:運用手順書(OPS-003)、未解決の不具合の一覧、問い合わせの記録とよくある質問、監視の設定(OPS-002)、各社の連絡先
- 引継ぎを受ける側の準備:運用の担当の訓練、手順を実際に試す期間
- 引継ぎの判断:誰が、何を見て判断するか
教材用サンプル成果物の読み方を学ぶための例
教材用サンプル — 段階ごとの体制と、引継ぎの条件
この成果物は学習用サンプルです。FROZEN正本に記載されたCASE FACTと、成果物の読み方を学ぶための教材用サンプル値を区別して表示しています。
次の表は、計画の書き方を学ぶための例です。内容はすべて教材上の架空の例で、アステリア案件の記録ではありません。期間は「○週」のように伏せています。
| 段階 | 期間の目安 | 体制(教材上の例) | 確認の場 | 次の段階へ進む条件(教材上の例) |
|---|---|---|---|---|
| 1 厚い体制 | 稼働から○週 | 開発の各社が業務時間中は常駐、夜間は当番。業務の相談役が各部署に1人 | 毎日、朝と夕方 | 重い不具合が残っていない。問い合わせの件数が減り始めている |
| 2 縮めた体制 | その後○週 | 開発の各社は連絡を受けて対応。運用の担当が窓口を受け持つ | 毎日1回 | 初めて迎える定期の処理が一通り正常に終わった。運用の担当が手順だけで作業できた |
| 3 通常の運用 | 引継ぎの判断の後 | 運用の担当と、保守の契約に基づく各社の窓口 | 週1回の報告 | ― |
| 条件(教材上の例) | 確かめ方 | 状態 |
|---|---|---|
| 重い不具合が残っていない。残る不具合に直す予定がある | 障害管理表 | 満たした |
| 運用の担当が、手順書だけで日々の作業を行えた | 運用の担当の作業の記録 | 満たした |
| よくある質問が整理され、窓口で答えられる | 問い合わせの記録 | 一部未了 |
| 各社の連絡先と、保守の窓口が決まっている | 連絡先の一覧 | 満たした |
| 監視の設定の担当が、運用の側に移っている | 監視・アラート一覧 | 未了 |
読み方
- 段階を進める条件が、日付ではなく状態で書かれているか
- 段階ごとに、誰が、どの時間帯にいるかが分かるか
- 初めて迎える定期の処理と、その日の体制が書かれているか
- 引き継ぐものが一覧になっていて、運用手順書・未解決の不具合・問い合わせの記録を含むか
- 引継ぎを受ける側が、実際に手順を試す期間が用意されているか
書き方
- 初めて迎える定期の処理の予定を並べ、段階と段階ごとの体制を決めて開発の各社と合意する
- 問い合わせの窓口と、毎日の確認の場・見る指標を決める
- 段階を進める条件と引継ぎの条件を、確かめ方と一緒に書く
- 引き継ぐものの一覧を作り、運用の担当に手順を試してもらう期間を置く
何を書いてはいけないか
- 「安定したら引き継ぐ」のような、判断できない条件
- 日付だけの終わり(条件を満たしていなくても、日付が来たら体制を縮める)
どこを見るか
- 段階の分け方と、段階を進める条件
- 段階ごとの体制と待機の時間帯
- 初めて迎える定期の処理の体制
- 引き継ぐものの一覧
- 引継ぎの判断をする人と、確かめ方
赤信号
- 引継ぎの条件の欄が空欄、または日付だけ
- 運用の担当が、引継ぎの日まで一度も手順を試していない
- 引継ぎの時点で、未解決の不具合の一覧に担当の決まっていないものが残っている
よくある失敗
- 支援の体制を縮めた直後に、初めて迎える定期の処理が来て、対応できる人がいない
- 開発の担当が、手順書に書かれていない作業を支援の期間中に続けていて、引継ぎの後に誰もやらなくなる
関係するUnit・成果物・危機演習
- Unit:14-01 稼働直後の集中対応期間、14-04 システムは完成しない、12-02 システム停止から稼働まで
- 成果物:OPS-003 運用手順書(引き継ぐ手順の中身)、OPS-002 監視・アラート一覧、OPS-004 障害対応計画、CUT-005 本番稼働判定資料、TST-003 障害管理表
- 危機演習:この成果物を直接の題材にする危機演習はありません
AI WORKFLOW
AIは、毎日の状況のまとめと、引継ぎの条件の確認の下書きに役立ちます。
「今日までの問い合わせの記録と障害管理表をもとに、①問い合わせの件数と内容の分類の推移、②重さごとの未解決の不具合の件数、③引継ぎの条件のうち、確かめる記録がまだないもの、を表にしてください。段階を進めてよいか、引き継いでよいかは判断しないでください。」
REVIEW
- AIの集計を、人が元の記録で確かめたか(期間と数え方がそろっているか)
- 個人情報を含む問い合わせを、扱ってよい範囲で AI に渡したか
- AIの表に、段階を進めるかどうかの判断が混ざっていないか
人間が判断すること
- 集中支援の体制と、段階の分け方
- 段階を進めるか、通常の運用へ引き継ぐか
- 条件を満たさないまま期限が来たとき、支援を延ばすか
いつ使うか
この教材では STAGE 14|稼働した後が本当のスタート の文脈で扱います。 アステリア案件での正式な作成・使用時期(月)は正本に記載がないため、未確定としています。
最後の問い
この計画を読んだ人は、「稼働直後の厚い体制を、いつまで、誰で組み、どの条件がそろったら通常の運用へ引き継ぐか」を説明できますか?