DAT-008

データ系譜・品質ゲート定義

分類:DATA実物サンプルあり

これは何か

データ系譜・品質ゲート定義は、データの項目ごとに「どのシステムのどの項目から来て、どの処理でどう変わって、どこへ行くか」(系譜)を書き、処理の途中に「この基準を満たさなければ先へ進めない」という関門(品質ゲート)を置いて、基準・測り方・止めたときの判断者を決めた成果物です。

DAT-004 データ移行対応表 が「古い項目と新しい項目の対応」を示すなら、系譜はそれを稼働後も含めて「流れ」として追えるようにしたものです。DAT-005 データ品質・クレンジング一覧 が「汚れの種類と直し方」を示すなら、品質ゲートは「汚れたまま先へ進めない仕組み」です。

なぜ作るか

誰が使うか・いつ作るか

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

データの流れに関係する記載

  • 最重要データチェーン:顧客 → 契約 → 案件 → 要員 → 工数 → 原価 → 売上 → 請求 → 会計 → 経営分析
  • データ正本:顧客・契約は営業管理システム、社員・組織は人事マスター、工数は勤怠・工数管理SaaS、案件・案件予算・案件原価・請求は新基幹、正式な会計残高・仕訳は FIN-CORE、経営分析は BI
  • 連携:IF-01 顧客マスター連携、IF-02 契約情報連携、IF-03 社員・組織マスター連携、IF-04 工数連携、IF-05 売上仕訳連携、IF-07 原価仕訳連携、IF-08(新基幹 → BI)、IF-09(FIN-CORE → BI)
  • 10年分のデータ移行。成果物に DAT-004 データ移行対応表、DAT-005 データ品質・クレンジング一覧、DAT-007 データ照合報告書 がある
  • P-009 橋本 奈緒 — データ移行リーダー、P-005 藤本 遥 — 経理業務リーダー

項目ごとの系譜、品質ゲートの場所と基準、止めたときの判断者は、正本に記載がありません。未確定

主な項目

一般的には、2 つの部分で構成します。

系譜(データリネージ)

  1. 項目の識別:システム、表、項目の名前と定義(DAT-002 データ定義書 への参照)
  2. 上流:どのシステムのどの項目から、どの連携・処理で来るか
  3. 変換:途中でどう変わるか(単位、丸め、結合、集計、名寄せ)。変換の規則の置き場所
  4. 下流:どの項目・帳票・分析に使われるか
  5. 取得の方法:系譜を人が書くか、連携の定義から自動で取るか。更新の周期

品質ゲート

  1. 場所:処理のどの段階に置くか(取り込みの直後、変換の後、下流へ渡す前)
  2. 基準:必須の項目が埋まっている率、形式の一致率、参照先に存在する率、重複の率、合計の一致、前回との差の範囲
  3. 止めたときの扱い:止めて知らせる相手、判断する人(データの持ち主)、通す・直す・捨てるの選択肢、記録
  4. 基準の根拠と見直し:実測(リハーサル、稼働後の推移)から決めた根拠と、見直しの周期

教材用サンプル成果物の読み方を学ぶための例

教材用サンプル — 1 項目の系譜と、品質ゲートの定義

この成果物は学習用サンプルです。FROZEN正本に記載されたCASE FACTと、成果物の読み方を学ぶための教材用サンプル値を区別して表示しています。

次の表は、工数から原価へ流れるデータを題材にした書き方の例です。項目名・基準・数値はすべて教材上の架空の例で、アステリア案件の記録ではありません。

段階(教材上の例) システム・項目 変換 系譜の取得
上流 勤怠・工数SaaS「日次工数(時間)」 ― 連携の定義から自動
連携 連携基盤「工数明細」 社員番号と案件番号で正本に照らし、存在しないものを別置き 連携の定義から自動
取り込み 新基幹「案件工数(人日)」 時間 ÷ 8 で人日に換算。0.125 人日単位で丸め 変換規則の文書 #変換-12
集計 新基幹「案件原価」 人日 × 要員の単価。月次で集計 変換規則の文書 #変換-15
下流 FIN-CORE への原価仕訳、BI の案件収支 ― 連携の定義から自動
ゲート(教材上の例) 場所 基準 下回ったら 判断する人
G1 取り込み前 連携基盤で受け取った直後 社員番号・案件番号が正本に存在する率 99.5% 以上。1 件の工数が 0 超 24 以下 取り込みを止め、不一致の一覧を業務へ通知 プロジェクト管理業務の担当
G2 換算後 人日に換算した後 日次の合計が、元の時間の合計 ÷ 8 と一致(丸め誤差の範囲内) 換算を止め、規則の確認 データ移行の担当
G3 集計前 月次の集計の直前 当月の工数の合計が、前月比 ±40% の範囲 集計を止めず、警告を出して確認を依頼 経理業務の担当
G4 下流へ渡す前 FIN-CORE・BI へ渡す直前 案件ごとの原価の合計が、明細の合計と一致 渡さずに止め、原因の調査 経理業務の担当

読み方

  1. 系譜が「上流・変換・下流」の 3 つで書かれ、変換の規則の置き場所が示されているか
  2. 系譜が自動で取れる部分と、人が書く部分が分かれているか(人が書く部分は古くなる)
  3. ゲートの基準に根拠(実測)があり、「止める」と「警告」が分かれているか
  4. 止めたときの判断する人が、データの持ち主(業務部門)になっているか
  5. 基準の見直しの周期が決まっているか

書き方

  1. 最重要データチェーンの項目から系譜を書き始める(全項目を一度に書かない)
  2. 変換の規則を文書化し、系譜から参照する
  3. ゲートの場所を「流れ込む前に止められる位置」に置く
  4. 基準はリハーサルの実測から決め、厳しすぎて毎回止まる基準にしない
  5. 止めたときの判断の手順を、業務部門と一度通してみる

何を書いてはいけないか

どこを見るか

  1. 上流・変換・下流と、変換規則の参照
  2. 系譜の取得方法(自動か手書きか)
  3. 基準の根拠と、止める/警告の区別
  4. 止めたときの判断する人
  5. 見直しの周期

赤信号

  • 経営分析の数字がおかしいとき、どの段階で何が起きたかを誰も遡れない
  • 品質の基準が「件数が合うこと」だけで、中身の基準がない
  • ゲートが止まるたびに「とりあえず通す」が繰り返され、基準が形骸化している
  • 連携が変わったのに系譜が更新されず、下流への影響が事後に分かる

よくある失敗

関係するUnit・成果物・危機演習

AI WORKFLOW

AIは、連携の定義や変換の規則の文書から、項目ごとの上流・変換・下流を抜き出し、系譜の下書きを作るのに役立ちます。

「次の連携の定義と変換規則の文書から、項目ごとに『上流のシステムと項目』『変換の内容』『下流のシステムと項目』を表にしてください。文書に書かれていない部分は空欄のまま示し、推測で埋めないでください。品質の基準の提案はしないでください。」

REVIEW

  • AIが抜き出した上流・下流が、連携の定義と一致しているか
  • 空欄の部分を、連携の開発者と業務部門に確かめたか
  • 連携の定義を AI に渡してよいか(相手の会社との守秘の扱い)を事前に確かめたか

人間が判断すること

  • ゲートの場所と基準、止めるか警告かの区別
  • ゲートが止まったとき、通す・直す・捨てるのどれにするか
  • 基準を見直す時期

要件確定は、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。

いつ使うか

この教材では STAGE 11|10年分のデータを新システムへ移す の文脈で扱います。 アステリア案件での正式な作成・使用時期(月)は正本に記載がないため、未確定としています。

最後の問い

この定義を読んだデータの担当は、「この項目はどこから来て、どう変わってここにあるか」と「どの基準を下回ったら処理を止め、誰が判断するか」を、どちらも文書を指さして答えられますか?

学習上の接続

教材上の学習接続です。成果物とUnitの正式な対応表はbaselineにないため、正式な関連付けとしては登録していません。

  • Stage:未確定(baselineに対応表なし)
  • 危機演習:未確定(baselineに対応表なし)
  • 人物:未確定(baselineに対応表なし)