Unit 01-06(STAGE 01 の 6 / 7)

10年間でいくらかかるのか

学習状況:未着手

このユニットの結論

システムの費用は、作るときの金額で終わりません。

動かし続ける費用、直し続ける費用、人の費用、いつか作り直す費用を、10 年のような期間で積み上げて初めて、投資の本当の大きさが分かります。開発費だけを比べて安い案を選ぶと、10 年では高くつくことがあります。

1. 何の話か

このユニットは、システムにかかる費用を期間で見る話です。

01-04 システムの費用は開発費だけではない では、開発費のほかにどんな費用があるかを学びました。ここでは、それらを何年分積み上げ、どう比べるかを扱います。世界で共有されている考え方では、所有している間にかかる費用の合計を「総保有コスト(TCO)」と呼びます。

2. なぜ必要か

開発費だけで判断すると、

ということが起きます。経営層が「結局いくらかかるのか」と聞くのは、この合計を知りたいからです。

3. このユニットで分かること

4. 期間で積み上げる費用の種類

一般的には、次の種類を期間で積み上げます。

種類 中身(一般的な例) 見落としやすい点
作る費用 要件定義、設計、開発、テスト、移行、導入支援 社内の人が使う時間(業務部門のレビュー、テスト参加)
動かす費用 基盤の利用料、ソフトウェアの利用料・保守料、通信 利用者やデータが増えると増える費用
支える費用 運用の当番、問い合わせ窓口、監視、セキュリティ対応 稼働直後の特別体制、教育
直す費用 法令や制度の変更対応、業務の変更対応、不具合の修正 年に一定割合は必ず発生する
更新する費用 部品の保守終了に伴う更新、数年ごとの大きな改修 時期が読みにくく、予算から抜けやすい
終わらせる費用 旧システムの停止、データの保管、契約の解約 旧システムを並行して動かす期間の二重費用

5. 期間と比べ方

期間は、システムを使い続ける想定の年数で決めます。基幹システムでは 10 年前後を置くことが多いですが、業務や技術の変化が速い領域では短くします。期間を長くするほど合計は大きく見え、短くするほど更新の費用が見えなくなります。期間は比べる案の間でそろえます。

比べ方の落とし穴は 3 つです。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件の規模と期間に関する記載

  • 大規模基幹システム刷新。約120人規模のプロジェクト、約1,500件の要件、約36本のシステム連携、10年分のデータ移行、マルチベンダー、AI活用あり
  • M-6 構想開始、M0 正式キックオフ、M18 本番稼働、M21 初期安定化完了
  • システムに SYS-03 勤怠・工数管理SaaS(外部サービスとして利用。Vendor D タイムリンクの担当範囲)がある
  • P-001 佐伯 隆志 — CFO/プロジェクトスポンサー

アステリア案件の投資額、年間の運用費、想定した利用期間、総保有コストの見積もりは、正本に記録がありません。記録なし 「10年分のデータ移行」は移すデータの期間であり、システムを使う期間ではありません。

6. THINK — 「開発費が 3 割安い案にする」

ベンダー選定の会議で、次の意見が出ました。

「B 案は開発費が A 案より 3 割安い。同じ要件を満たすなら、B 案にしない理由はない。」

問題

この比べ方で B 案を選んでよいでしょうか。

判断例を開く

判断

開発費は、期間で積み上げた費用の一部にすぎません。

確認すること:

  • 両案で、毎年の利用料・保守料はいくらか。期間で積むとどちらが大きいか
  • 稼働後に必要な人の数(運用、問い合わせ、改修)は両案で同じか
  • 部品の保守が終わる時期と、更新の費用は両案で同じか
  • 両案で数えている費用の種類がそろっているか
  • 利用者数やデータ量が増えたとき、費用はどちらがどれだけ増えるか

3 割の差が 10 年で逆転することは珍しくありません。開発費の比較は「比べ始めの数字」であって、「決める数字」ではありません。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

費用を期間で見るなら、効果も同じ期間で見ます。片方だけ 10 年、片方だけ初年度では比べられません。

9. AI WORKFLOW — 費用の種類の抜けを探させる

AIは、見積書や企画書の費用の内訳を、上の 6 種類に分類し、空いている種類を見つける下書きに役立ちます。

指示例:

「次の見積もりの内訳を、作る・動かす・支える・直す・更新する・終わらせる の 6 種類に分類してください。どの種類にも当たる項目がない場合は、その種類を『記載なし』と示してください。金額を推定して埋めたり、妥当性を評価したりしないでください。」

10. REVIEW — AIの分類を確認する

  • AIの分類が、見積もりの項目の意味と合っているか
  • 「記載なし」とされた種類について、本当に費用が発生しないのかを人が確かめたか
  • 見積書を AI に渡してよいか(金額・契約の扱い)を事前に確かめたか

11. 人間が判断すること

  • 期間を何年に置くか
  • どの費用の種類まで数えるか
  • 期間で見た合計と効果を比べて、投資するか

投資承認は、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。

12. 判断演習

身近な例(たとえば自動車、住まい、家電のどれか)を 1 つ選んでください。

買うときの金額のほかに、持ち続ける間にかかる費用の種類を 5 つ以上挙げ、「買うときの金額だけで比べると判断を誤る場面」を 1 つ書いてください。システムの費用と、どこが同じでどこが違うかも考えてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

費用は期間で積む。作る・動かす・支える・直す・更新する・終わらせる、の 6 種類を同じ期間で数え、案の間で種類をそろえて比べる。

次に読むもの

本文で参照している成果物:BUS-002 システム投資企画書、BUS-004 効果測定指標一覧

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

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学習状況

状態:未着手