これは何か
要件確定記録は、要件一覧のうち、どの要件を「これで作る」と確定したのか、誰がいつ確定したのか、確定しなかった(保留にした)ものは何かを残す成果物です。
要件一覧(REQ-002)は、要件そのものを並べた一覧です。要件確定記録は、その一覧に対して「確定した」という判断が行われたことの記録です。
なぜ作るか
- 設計・開発を始めてよい要件の範囲を、全員が同じように分かるようにする
- 確定した後に要件を変えるときは、変更の手続き(04-06)に乗せる、という区切りを作る
- 「いつ決まったのか」「誰が決めたのか」を、あとから確かめられるようにする
- 保留にした要件を、忘れずに追いかけられるようにする
誰が使うか・いつ作るか
- 作る人:要件を取りまとめる担当(業務の担当と、要件を管理する担当)
- 確定する人:その要件に責任を持つ業務の責任者など、プロジェクトで決めた人
- 使う人:設計・開発・テストの担当、PMO、変更を判断する人
- 一般的には、要件定義の区切り(業務ごと・工程ごとなど)で作り、その後の変更に合わせて追記します
- アステリア案件の要件の確定の時期・確定した人・確定の内容は、正本に記載がありません。未確定
CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実
要件に関係する記載
- 約1,500件の要件
- 業務の担当として、P-005 藤本 遥(経理業務リーダー)、P-006 川村 美咲(プロジェクト管理業務リーダー)、P-007 松本 健太(営業・契約業務リーダー)がいる
- 要件確定は、AIへ最終委任しない事項の1つ
上の業務の担当が、どの要件を確定する役割を持つかは、正本に記載がありません。未確定 役職名から、確定する人を推測しません。
主な項目
一般的には、次の項目で構成します。
- 確定の対象:どの要件(番号の範囲、業務の範囲)を確定したか
- 要件一覧の版:どの時点の要件一覧を確定したか
- 確定した人と日付
- 確定の根拠:どの会議・どの確認を経たか(会議の記録などへの参照)
- 保留にした要件:確定しなかった要件と、その理由・次に決める時期・担当
- 前提と条件:「この前提が変わったら見直す」という条件があれば書く
- その後の変更:確定の後に変更の手続きで変わった要件への参照
教材用サンプル成果物の読み方を学ぶための例
教材用サンプル — 確定記録の1件
この成果物は学習用サンプルです。FROZEN正本に記載されたCASE FACTと、成果物の読み方を学ぶための教材用サンプル値を区別して表示しています。
次の表は、確定記録の書き方を学ぶための例です。番号・業務・判断は、すべて教材上の架空の例で、アステリア案件の記録ではありません。
| 項目 | 記入の例(教材上の例) |
|---|---|
| 記録番号 | REQFIX-EX-01 |
| 確定の対象 | 案件の登録・変更にかかわる要件(REQ-FUNC-0101〜0164) |
| 要件一覧の版 | 要件一覧の第3版 |
| 確定した人・日付 | 案件管理の業務の責任者/日付を記入 |
| 確定の根拠 | 業務の担当による確認会の記録(参照先を記入) |
| 保留にした要件 | REQ-FUNC-0158(承認の段数):組織の規程の改定を待つ。次に決める時期と担当を記入 |
| 前提と条件 | 組織の規程が改定された場合は、関係する要件を見直す |
読み方
- 確定の対象が、番号や業務の範囲ではっきり書かれているか
- 確定した人が、その要件に責任を持つ立場の人か
- 保留の要件に、理由・次に決める時期・担当があるか
- 確定の根拠(会議の記録など)をたどれるか
- 確定の後の変更が、変更の手続きを通っているか
書き方
- 確定する範囲を決める(全部を一度に確定しなくてよい)
- 範囲の中の要件を、業務の担当と一緒に見直す
- 確定できるものと、保留にするものを分ける
- 保留にするものには、理由・次に決める時期・担当を書く
- 確定する人の確認を得て、日付とともに記録する
- 確定した範囲を、設計・開発・テストの担当に知らせる
何を書いてはいけないか
- 範囲のはっきりしない「要件はすべて確定」
- 確定した人のいない記録
- 保留の要件を書かずに「確定」とすること
どこを見るか
- 確定の対象の範囲
- 確定した人と日付
- 保留の要件の数と、それぞれの次の一手
- 確定の根拠への参照
- 確定の後の変更の記録
赤信号
- 確定した人の欄が空欄、または「関係者一同」
- 保留の要件に、次に決める時期も担当もない
- 確定したはずの要件が、変更の手続きを通らずに変わっている
- 確定の記録が、設計が進んだあとにまとめて作られている
よくある失敗
- 保留の要件を、確定した要件と同じ一覧に混ぜ、区別がつかなくなる
- 確定したことを、設計・開発の担当に知らせない
関係するUnit・成果物・危機演習
- Unit:04-05 要件はどこからどこまで追跡するのか、04-06 途中で要件が変わったらどうするのか、04-01 要望と要件は何が違うのか、04-04 要件に番号を付ける理由
- 成果物:REQ-002 要件一覧、REQ-004 要件追跡表、REQ-005 変更要求書、PRG-007 意思決定記録
- 危機演習:この成果物を直接の題材にする危機演習はありません
AI WORKFLOW
AIは、要件一覧と確定記録を突き合わせる下書きに役立ちます。
「この要件一覧と要件確定記録を比べ、①どの確定記録にも含まれていない要件、②保留とされたまま次に決める時期がない要件、③確定の後に内容が変わっている要件、を挙げてください。要件を確定してよいかは判断しないでください。」
REVIEW
- AIが挙げた要件を、人が元の一覧と記録で確かめたか
- AIが要件の内容を書き換えたり、確定したことにしたりしていないか
- 保留の要件の扱いを、確定する立場の人に上げたか
人間が判断すること
- どの要件を確定するか、保留にするか
- 確定する人と、確定の範囲
- 確定の後の変更を認めるか
要件確定は、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。
いつ使うか
この教材では STAGE 04|1,500件の要件を管理する の文脈で扱います。 アステリア案件での正式な作成・使用時期(月)は正本に記載がないため、未確定としています。
最後の問い
この記録を読んだ人は、「どの要件の、どの版を、誰が、いつ確定したか。保留にしたものは何か」を答えられますか?