Unit 14-03(STAGE 14 の 3 / 6)

サービス品質を数値で管理する

学習状況:未着手

このユニットの結論

「最近よく止まる」「前より悪くなった」という感覚だけでは、改善すべきかどうかを決められません。

運用で守り続ける品質の目標を数値で決め、測り方を定義し、決めた頻度で報告し、目標を下回ったときにすることまで決めておくことで、運用の品質を関係者が同じものさしで話せるようにします。

1. 何の話か

稼働から半年ほどたった運用の定例会で、利用部門の責任者がこう言いました。

「最近、システムがよく止まる気がします。」

運用の担当者は「そんなことはないはずです」と答えましたが、どちらにも根拠の数字がなく、話は平行線でした。

このユニットは、運用の品質を数値で決めて、測って、報告する話です。一般的には、この目標を「サービス品質目標」、利用部門や委託先と合意したものを「サービスレベル合意」(英語の略で SLA)と呼びます。

2. なぜ必要か

品質を数値で管理しないと、

ということが起きます。

3. このユニットで分かること

4. 何を目標にするか

一般的には、次のような種類の目標を決めます。

大切なのは、利用者が「困るかどうか」とつながる目標を選ぶことです。システムの部品の値(使っている資源の割合など)は、監視(14-02)では見ますが、それだけを品質の目標にすると、利用者の実感とずれます。

5. 測り方を定義する

同じ「使えた時間の割合」でも、測り方によって数字が大きく変わります。目標と一緒に、次を決めて書いておきます。

教材用サンプル目標の書き方を学ぶための例

目標の種類 目標(教材上の例) 測り方(教材上の例) 報告(教材上の例)
使えること 業務の時間のうち 99.5% 以上 平日の業務の時間を対象。一部の機能の停止も数える。事前に知らせた停止は除く 毎月
処理が間に合うこと 日次の処理が始業までに終わらなかった日が、1か月に1日以下 処理の終わった時刻を監視の記録から集計 毎月
問い合わせへの対応 受付から4営業時間以内に最初の回答 問い合わせの記録の受付時刻と回答時刻 毎月

目標の値・測り方・報告の頻度は、すべて教材上の例です。アステリア案件の目標ではありません。

6. 非機能要件との違い

非機能要件(REQ-003 非機能要件一覧)は、システムを作るときに満たすべき水準で、テストで確かめます。サービス品質目標は、稼働したあとに運用で守り続ける水準で、毎月などの間隔で測って報告します。

作るときの水準が、運用の目標の土台になります。ただし、運用の目標には「問い合わせへの対応」のように、システムの作りだけでは決まらないものも含まれます。

7. 目標を下回ったとき

目標を下回ったら、次のように考えます。

  1. 測り方どおりに集計されているか(数字の誤りではないか)
  2. なぜ下回ったか(特定の障害か、じわじわと悪くなっているのか)
  3. 何をすれば戻せるか。費用や人がどれだけかかるか
  4. 目標そのものが、業務に合っているか

目標を下げることも、選択肢の1つです。ただし、下げるときは、業務の責任者と合意し、その理由を記録します。障害が原因で下回ったときは、振り返り(OPS-006 障害振り返り報告書)とつなげて対策を考えます。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件に関係する記載

  • M18 本番稼働、M21 初期安定化完了
  • システムに SYS-11 監視・ログ基盤がある
  • マルチベンダー
  • P-011 山下 恵 — 本番移行・運用リーダー
  • 成果物に OPS-007 サービス品質目標一覧がある

アステリア案件のサービス品質目標の中身・値・測り方、報告の相手と頻度、委託先との合意の有無と内容は、正本に記載がありません。未確定

8. THINK — 目標は達成しているのに、不満が出る

(教材上の例)毎月の報告で、「使えること」の目標は毎月達成しています。それでも利用部門からは、「よく止まって仕事にならない」という声が続いています。

問題

目標を達成しているので、問題はないと言えるでしょうか。

判断例を開く

判断

言えません。数字と利用者の実感がずれているときは、まず測り方を疑います。

確認すること:

  • 一部の機能だけが使えない時間を、「使えなかった」と数えているか
  • 短い停止が何度も起きていても、合計の時間が小さいために目立たなくなっていないか
  • 利用部門が困っている時間帯が、数える範囲に入っているか
  • 「止まった回数」など、実感に近い目標を足す必要があるか

目標を達成していても、利用者が困っているなら、目標か測り方を見直します。

9. よくある失敗

10. 成果物との接続

11. AI WORKFLOW — 報告の下書きを作らせる

AIは、記録から集計し、報告の下書きを作るのに役立ちます。

指示例:

「次の停止の記録と問い合わせの記録から、添付した測り方の定義どおりに今月の値を集計し、目標と比べた表の下書きを作ってください。定義に当てはまるか迷う記録は集計に入れず、一覧にして示してください。目標を達成したかどうかの評価は書かないでください。」

12. REVIEW — AIの集計を確認する

  • 集計が、測り方の定義どおりか(除くもの・数える時間の範囲)
  • AIが迷う記録を、勝手に含めたり除いたりしていないか

13. 人間が判断すること

  • どの目標を、どの値で、どの測り方で決めるか
  • 迷う記録を、数えるか除くか
  • 下回ったときに、費用をかけて戻すか、目標を見直すか

14. 判断演習

(教材上の例)「問い合わせへの対応」の目標を、3か月続けて下回りました。

報告の場で、あなたが確かめたいことを3つ挙げてください。そのうえで、目標を下げるべきか、対応の体制を変えるべきかを判断するために、どんな情報が必要かを書いてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

サービス品質は、目標・測り方・報告・下回ったときの対応をそろえて管理します。

数字と利用者の実感がずれたら、まず測り方を見直します。

次に読むもの

本文で参照している成果物:OPS-007 サービス品質目標一覧、REQ-003 非機能要件一覧、OPS-002 監視・アラート一覧、OPS-006 障害振り返り報告書

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手