Unit 02-04(STAGE 02 の 4 / 7)

一番安い会社を選べばよいのか

学習状況:未着手

このユニットの結論

提案の見積もりが一番安い会社が、プロジェクト全体で一番安く済むとは限りません。

見積もりの前提(何が含まれ、何が含まれていないか)をそろえ、稼働後にかかる費用と、失敗したときの損失まで含めて比べ、金額以外の観点と合わせて選ぶことが大切です。

1. 何の話か

このユニットは、ベンダー(システムを作る会社)を選ぶときの、金額の見方の話です。

提案依頼書(RFP)を出すと、各社から提案と見積もりが届きます(02-02・02-03)。見積もりの金額は分かりやすい数字なので、つい金額だけで比べたくなります。

2. なぜ必要か

金額だけで選ぶと、

ということが起きます。

3. このユニットで分かること

4. 比べる前にそろえること

見積もりは、前提がそろっていなければ比べられません。

そろえること 確かめる問いの例
範囲 どの作業が含まれているか。データ移行・テスト・教育・稼働後の支援は入っているか
前提条件 発注する側が用意するもの(環境・データ・人)は、各社で同じ前提か
期間 稼働後の支援・保守は、何年分が入っているか
変更の扱い 要件が変わったときの費用の決め方は、どう書かれているか

前提が違う場合は、同じ前提で見積もり直してもらうか、違いを金額に直して比べます。

5. 「総額」で考える

システムにかかるお金は、作るときの費用だけではありません(01-04)。一般的には、次を合わせて比べます。

6. 金額以外に見る観点

これらの観点と重みは、提案を受け取る前に決めておきます(BUS-006 ベンダー評価表)。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件に関係する記載

  • マルチベンダー。Vendor 4社(Vendor A / ネクサスシステムズ、Vendor B / クラウドブリッジ、Vendor C / ファイナンスシステムサービス、Vendor D / タイムリンク)
  • 成果物に BUS-005 提案依頼書(RFP)、BUS-006 ベンダー評価表がある

アステリア案件の見積もりの金額、候補になった会社の数、選定の理由は、正本に記載がありません。未確定 この教材では、4社の見積もりや評価を示しません。

7. THINK — 一番安い提案

(教材上の例)2社の提案が届きました。X社の見積もりは、Y社より3割安くなっています。選定の会議で、次の意見が出ました。

「機能はどちらも要件を満たすと書いてあります。安いX社にしましょう。」

問題

この意見のとおり、X社に決めてよいでしょうか。

判断例を開く

判断

まだ決められません。

確認すること:

  • 両社の見積もりに、同じ範囲の作業が含まれているか(特に、データ移行・テスト・稼働後の支援)
  • 前提条件(発注する側が用意するもの)は同じか
  • 稼働後の保守・利用料を、数年分で比べたか
  • X社の体制・進め方に、安さの理由として無理がないか
  • 金額以外の観点で、どちらが上か

3割の差が、範囲の違いや、あとで追加される費用で消えることはよくあります。

8. よくある失敗

9. 成果物との接続

契約で何を決めるかは、02-05 契約で何を決めるのか のテーマです。

10. AI WORKFLOW — 見積もりの前提の違いを探させる

AIは、複数の見積もりの前提を並べて比べる下書きに役立ちます。

指示例:

「次の2社の見積もりについて、①含まれている作業、②含まれていない作業、③前提条件、④稼働後の費用の期間、を表にして並べてください。どちらの会社がよいかは判断しないでください。」

11. REVIEW — AIの比較を確認する

  • 表の内容が、元の見積もりと合っているか
  • AIが、書かれていない作業を「含まれている」と推測していないか
  • 見積もりを AI に渡してよいか(秘密の扱い)を、事前に確かめたか

ADVANCED深掘り — 実務者向けに一段深く

深掘り — 総合評価の重みと、評価者のばらつき

重みは評価の前に決める

価格だけで選ばない方法として、技術の点数と価格の点数を重みを付けて合計する「総合評価」があります。重み(たとえば技術 70 に対して価格 30)をどう置くかで結果が変わるため、提案を見る前に重みを決め、提案する側にも公開しておきます。あとから重みを変えると、特定の会社を選ぶための操作に見えます。

評価者の点差を見る

同じ提案でも、評価者によって点数は違います。ばらつきを減らすには、点数ごとの意味を言葉で決めておきます(たとえば「5:同規模の実績があり、体制が名前つきで示されている」「3:実績はあるが体制が未定」)。採点のあと、評価者の間で点差が大きい項目を取り出し、理由を話し合ってから確定します。平均するだけでは、ばらつきの原因が残ります。

安い提案の前提を読む

安い提案は、範囲の解釈が狭いことがあります。「含まれていない作業」「前提にしている体制」「成果物の数」をそろえてから比べます。また、開発の費用だけでなく、稼働後の運用・保守・更改までの費用(総保有コスト)で見ると、順位が入れ替わることがあります(01-04)。

記録に残すもの

重み、点数の意味、評価者ごとの点数、話し合いの結論。あとで「なぜこの会社か」を説明できる形で残します。

現場で確かめる問い

  • 重みと点数の意味は、提案を見る前に決まり、提案する側に示されていたか
  • 評価者の間で点差が大きい項目を取り出し、理由を話し合った記録があるか
  • 安い提案の「含まれていない作業」と「前提の体制」を、ほかの提案とそろえて比べたか
  • 開発費だけでなく、稼働後の運用・保守・更改までの費用で順位を見たか

アステリア案件の評価の方法、重み、評価者は、正本に記録がありません。記録なし

12. 人間が判断すること

  • 比べる観点と重み
  • 前提の違いを、どう金額に直すか
  • どの会社を選ぶか。安さの理由を受け入れるか

13. 判断演習

あなたは、ベンダー選定の担当です。

見積もりが一番安い会社に、その理由を確かめるための質問を3つ考えてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

見積もりは、前提をそろえ、総額で比べ、金額以外の観点と合わせて選びます。

一番安い見積もりが、一番安いプロジェクトになるとは限りません。

次に読むもの

本文で参照している成果物:BUS-006 ベンダー評価表、BUS-005 提案依頼書(RFP)、BUS-002 システム投資企画書

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手