Unit 06-06(STAGE 06 の 6 / 7)

どれだけの容量を用意するのか

学習状況:未着手

このユニットの結論

容量は「多めに」でも「ぎりぎり」でもなく、計算して決めます。

いまの量、増える速さ、山(ピーク)の高さ、の 3 つを根拠つきで置き、部品ごとの計算の仕方で必要量に直し、余裕率と「いつ増やすか」の目安を決める。これを文書にしたものが容量計画です。計算のない容量は、足りなくなるか、無駄になるかのどちらかです。

1. 何の話か

このユニットは、システムに用意する計算機・記憶領域・通信の大きさ(容量)をどう決めるかの話です。

06-02 何人まで利用できればよいのか では、同時利用者数という要件の決め方を学びました。ここでは、その要件を実際の部品の大きさに翻訳し、増える量に合わせて増やしていく計画を扱います。世界で共有されている考え方では「容量計画(キャパシティプランニング)」と呼びます。

2. なぜ必要か

計算せずに決めると、

ということが起きます。容量は一度決めて終わりではなく、増える量に合わせて見直し続けるものです。

3. このユニットで分かること

4. 3 つの前提

前提 何を調べるか 根拠の取り方(一般的な例)
いまの量 登録利用者、同時利用者、1 日の処理件数、データの総量 現行システムの記録(最も信頼できる)。新規なら類似業務の実測
増える速さ 1 年でどれだけ増えるか 採用計画、事業計画、過去数年の増加の実績
山の高さ 通常時の何倍になるか、いつ来るか 業務のカレンダー(締め、給与、期末)。現行の時間帯別・日別の記録

山の高さは見落とされやすい前提です。月に 1 度の締めの日に同時利用者が通常の 3 倍になるなら、容量は 3 倍の日に合わせて決めるか、山の日だけ増やせる仕組みにするかを選びます。

5. 計算と余裕率

部品ごとに「計算の仕方」を決めます。たとえば、画面を処理する計算機なら「山の日の同時利用者 ÷ 1 台が受け持てる人数」、データの置き場所なら「件数 × 1 件の大きさ × 索引などの係数」、夜間処理なら「件数 ÷ 1 時間に処理できる件数」です。1 台が受け持てる人数や 1 件の大きさは、試験で測ります。

余裕率は、必要量に対してどれだけ余裕を持つかです。通常時の使用率を 6 割程度に保つ、といった置き方をします。使用率が高いほど、少しの増加で遅くなります。

いつ増やすかは、「使用率がこの値を超えたら、これだけ増やす」という目安と、増やすのにかかる日数で決めます。増やすのに 10 営業日かかる部品は、10 営業日より前に判断しなければ間に合いません。

計算の前提と結果は ARC-008 容量計画書 に書き、性能試験(TST-005 性能試験結果報告書)で「計算どおりか」を確かめます。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件の量に関する記載

  • アステリア株式会社は従業員 約4,000名
  • 約1,500件の要件、約36本のシステム連携、10年分のデータ移行
  • システムに SYS-01 新基幹システム、SYS-06 システム連携基盤、SYS-07 BI基盤 がある。Vendor B クラウドブリッジの担当範囲に クラウド基盤、ネットワーク が含まれる
  • 成果物に ARC-008 容量計画書、TST-005 性能試験結果報告書 がある
  • P-008 黒田 健 — システムアーキテクト

同時利用者数、処理の件数、データの総量、増える速さ、山の高さ、用意した部品の大きさは、正本に記録がありません。記録なし 「従業員 約4,000名」は会社の規模であり、同時利用者数ではありません。

6. THINK — 「余裕を見て 2 倍にしておけばよい」

基盤の設計の会議で、次の意見が出ました。

「容量の計算は難しいので、現行システムの 2 倍にしておけば安全でしょう。」

問題

この決め方の問題は何でしょうか。

判断例を開く

判断

「現行の 2 倍」は、現行が足りていたのか、山の日に足りていなかったのか、何年持つのかが分からない数字です。

確認すること:

  • 現行の使用率はどれだけか。山の日に遅くなっていなかったか
  • 新システムは現行と処理の仕方が違う(1 件あたりの重さが違う)可能性があるか
  • 増える速さを見込んだとき、2 倍は何年持つか
  • 部品によって必要な倍率は違わないか(データの置き場所は増え続け、計算機は山に合わせる)
  • 2 倍の費用を毎月払う根拠を、経営層に説明できるか

「2 倍」が結果として正しいこともあります。しかし計算なしの 2 倍は、足りない部品と無駄な部品を同時に生みます。前提を 3 つ置いて計算し、その結果が 2 倍なら 2 倍にします。

7. よくある失敗

8. 成果物との接続

9. AI WORKFLOW — 計算の検算をさせる

AIは、容量計画書の「前提 × 計算の仕方 = 必要量」の検算に役立ちます。

指示例:

「次の容量計画の表について、部品ごとの『計算の仕方』に『前提の量』を当てはめて計算し直し、書かれている必要量と一致するかを示してください。一致しない行は差を示してください。前提の値や計算の仕方が妥当かどうかは判断しないでください。」

10. REVIEW — AIの検算を確認する

  • AIが計算の仕方(単位、係数)を正しく読み取っているか
  • 差が出た行は、計画書の誤りか、AIの読み違いかを人が確かめたか
  • 計画書を AI に渡してよいか(構成情報の扱い)を事前に確かめたか

11. 人間が判断すること

  • 余裕率をどこに置くか(費用との釣り合い)
  • 山の日に合わせて常に用意するか、山の日だけ増やす仕組みにするか
  • 増やす目安に達したとき、増やすか、使い方を見直すか

設計承認は、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。

12. 判断演習

社員食堂の席数を決める、と想像してください。

「いまの量」「増える速さ」「山の高さ」をそれぞれ何で調べるか、席数の「計算の仕方」をどう置くか、余裕率と「いつ増やすか」の目安をどう決めるかを書いてください。そのうえで、システムの容量計画と同じ考え方の部分と、違う部分を 1 つずつ書いてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

容量は計算で決める。いまの量・増える速さ・山の高さを根拠つきで置き、部品ごとの計算の仕方で必要量に直し、余裕率と増やす目安を決める。試験で計算どおりかを確かめる。

次に読むもの

本文で参照している成果物:ARC-008 容量計画書、TST-005 性能試験結果報告書

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手