これは何か
本番特権アクセス管理表は、本番のシステムの設定やデータを直接変えられる強い権限(特権)について、誰が持てるか、いつ・何のために使ったか、使った後に誰が確かめたかを管理する成果物です。
「特権」とは、普段の業務の権限では許されない、システム全体に影響する操作ができる権限のことです。考え方は 08-05 開発者は本番データを自由に見てよいのか で学びます。
なぜ作るか
- 特権を持てる人を、決まった少数に限る
- 特権を使うたびに、目的・期間・承認を残す
- 使った後に、使った本人以外の人が操作を確かめる
- 期限が過ぎた特権が残っていないかを確かめる
誰が使うか・いつ作るか
- 管理する人:セキュリティの担当、運用の担当
- 使う人:特権を申請する人、承認する人、使った記録を確かめる人、監査の担当
- 一般的には、本番の環境ができる前に作り、申請・使用のたびに記録します。緊急時の手順もあわせて決めます
- アステリア案件で、誰が特権を持ち、誰が承認するかは、正本に記載がありません。未確定
CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実
特権に関係する記載
- SYS-08 認証・ID基盤、SYS-11 監視・ログ基盤
- Vendor B / クラウドブリッジの担当範囲に IAM(利用者と権限の管理の仕組み)・監視が含まれる
- P-012 石井 稔 — セキュリティ責任者
- SYS-10 AI開発エージェント
- セキュリティ例外承認は、AIへ最終委任しない事項の1つ
上の人物や会社が、特権を承認する・持つという記載は、正本にありません。未確定
主な項目
一般的には、次の2つの表で構成します。
特権を持てる人の一覧
- 特権の種類(どのシステムの、どんな操作か)
- 持てる人(役割と名前)と、持つ理由
- 承認した人と日付、見直しの予定
使用の記録(1回の使用ごとに1行)
- 申請番号、使った人
- 目的(どの作業・どの障害のためか)
- 使ってよい期間
- 承認した人
- 行った操作の記録(操作の記録への参照、08-04)
- 使った後に確かめた人と結果
教材用サンプル成果物の読み方を学ぶための例
教材用サンプル — 使用の記録
この成果物は学習用サンプルです。FROZEN正本に記載されたCASE FACTと、成果物の読み方を学ぶための教材用サンプル値を区別して表示しています。
次の表は、使用の記録の書き方を学ぶための例です。内容はすべて教材上の架空の例で、アステリア案件の記録ではありません。
| 申請番号 | 目的 | 使ってよい期間 | 承認 | 使った後の確認 |
|---|---|---|---|---|
| PRIV-EX-01 | 定期の保守(設定の更新) | 決めた作業の時間帯だけ | 事前に承認 | 別の担当が操作の記録を確かめた |
| PRIV-EX-02 | 障害の調査(見るだけ) | 障害の対応の間だけ | 緊急時の手順で、事後に承認 | 別の担当が操作の記録を確かめた |
| PRIV-EX-03 | 登録の誤りのデータの修正 | 決めた作業の時間帯だけ | 事前に承認(業務の担当の同意あり) | 確認待ち |
読み方
- 特権を持てる人が、少数に限られているか
- 使用のたびに、目的・期間・承認があるか
- 緊急時に事後で承認したものが、きちんと事後に承認されているか
- 使った後の確認が、使った本人以外の人によって行われているか
- 「確認待ち」が長く残っていないか
書き方
- 本番の特権の種類を洗い出す
- 種類ごとに、持てる人と理由を決め、承認を得る
- 申請・承認・使用・確認の手順と、緊急時の手順を決める
- 使用のたびに記録し、使った後に確かめる
- 定期的に、持てる人の一覧と、期限の過ぎた特権を見直す
何を書いてはいけないか
- 共有のアカウントでの使用(誰が使ったか分からない)
- 目的が「作業のため」だけの記録
- 使った後の確認を、使った本人が行うこと
どこを見るか
- 持てる人の数と理由
- 使用の目的・期間・承認
- 緊急時の使用の事後の承認
- 使った後の確認と、確かめた人
- 期限の過ぎた特権の見直し
赤信号
- 開発の担当の多くが、本番の特権を常に持っている
- 使用の記録と、実際の操作の記録の件数が合わない
- 緊急時の使用が続き、事後の承認がたまっている
- 使った後の確認の欄が空欄のまま
よくある失敗
- 最初に多くの人に特権を与え、あとで絞れなくなる
- 緊急時の手順がなく、急ぎを理由に手続きを飛ばす
- 記録をとっているが、誰も確かめない
関係するUnit・成果物・危機演習
- Unit:08-05 開発者は本番データを自由に見てよいのか、08-02 必要最小限の権限とは何か、08-04 誰が何をしたか残す
- 成果物:SEC-002 権限設計表、SEC-004 監査ログ要件一覧、SEC-001 セキュリティ基本方針、AI-002 AIエージェント権限表
- 危機演習:この成果物を直接の題材にする危機演習はありません
AI WORKFLOW
AIは、使用の記録と操作の記録を突き合わせる下書きに役立ちます。
「この特権の使用の記録と、本番の操作の記録を比べ、①使用の記録のない特権の操作、②使ってよい期間の外の操作、③使った後の確認がない記録、を挙げてください。問題があるかどうかは判断しないでください。」
REVIEW
- AIが挙げた操作を、人が元の記録で確かめたか
- 緊急時の手順による使用が、正しく扱われているか
- 記録を AI に渡してよいか(情報の扱い)を、事前に確かめたか
人間が判断すること
- 誰に特権を持たせるか
- 特権の使用を承認するか。緊急時の手順
- 記録から見つかった操作を、問題として扱うか
いつ使うか
この教材では STAGE 08|誰に何を許可するのか の文脈で扱います。 アステリア案件での正式な作成・使用時期(月)は正本に記載がないため、未確定としています。
最後の問い
この表を見た人は、「本番の強い権限を、誰が、いつ、何のために使い、誰が確かめたか」を1件ずつ説明できますか?