Unit 08-03(STAGE 08 の 3 / 7)

権限を役割単位で設計する

学習状況:未着手

このユニットの結論

権限は、人ごとに1つずつ決めるのではなく、仕事の種類(役割)ごとに決め、人には役割を割り当てるように設計します。

こうすると、入社・異動・退職のたびに一から考えなくて済み、「誰が何をできるか」を説明しやすくなります。ただし、役割を細かく作りすぎると、かえって管理できなくなります。

1. 何の話か

このユニットは、役割にもとづく権限の設計の話です。英語では Role-Based Access Control(RBAC)と呼ばれます。

数十人ならともかく、利用者が非常に多いシステムで、1人ずつ権限を決めていては、管理が追いつきません。そこで、「案件の担当」「案件の承認者」「経理の担当」のような役割を作り、役割に権限をまとめます。

2. なぜ必要か

人ごとに権限を決めると、

ということが起きます。

3. このユニットで分かること

4. 役割の作り方

一般的には、次の手順で作ります。

  1. 業務の流れを見て、仕事の種類を洗い出す(人の名前や役職からではなく、仕事から)
  2. 仕事の種類ごとに、必要な操作とデータの範囲を決める(08-02)
  3. 似た役割はまとめ、違いが大きいものは分ける
  4. 役割に名前と説明を付ける(誰が見ても、どんな仕事の人か分かるように)
  5. 業務の責任者に確かめてもらう

役割の数は、少なすぎると権限が広くなり、多すぎると管理できなくなります。「1人のための役割」が増えてきたら、設計を見直すサインです。

5. 1人に持たせてはいけない組み合わせ

誤りや不正を1人で完結できないように、一緒に持たせない役割を決めます。これを「職務の分離」と呼びます。

組み合わせの例(教材上の例) 持たせない理由
登録する役割 と 承認する役割(同じ対象) 自分で登録したものを、自分で承認できてしまう
権限を設定する役割 と 業務の役割 自分に権限を足して、業務の操作ができてしまう
支払いを登録する役割 と 支払先を登録する役割 架空の支払先を作り、支払いを登録できてしまう

組み合わせのルールは、役割を割り当てるときに確かめる仕組みにします。

6. 入社・異動・退職と役割

人事の情報(在籍・所属)と役割の割り当てが連動していると、外し忘れが減ります。

CASE FACTFROZEN正本に記載されたアステリア案件の事実

アステリア案件に関係する記載

  • 従業員 約4,000名
  • SYS-05 人事マスターシステム、SYS-08 認証・ID基盤
  • IF-03 社員・組織マスター連携:人事 → 新基幹、IF-10 認証・ID → 新基幹
  • 社員・組織のデータの正本は人事マスター
  • Vendor B の担当範囲に IAM が含まれる

アステリア案件の役割の一覧、職務の分離のルール、人事の情報と役割の割り当ての連動のしかたは、正本に記載がありません。未確定 従業員数は、システムの利用者数ではありません。

7. THINK — 「部長だけの特別な役割」

役割の設計の打ち合わせで、ある部長から要望がありました。

「私は部長なので、部下が見られるものは全部見られるようにしたい。部長専用の役割を作ってほしい。ついでに、急ぎのときは私が代わりに登録もできるようにしてほしい。」

問題

この要望のとおりの役割を作ってよいでしょうか。

判断例を開く

判断

そのまま作る前に、分けて考えます。

確認すること:

  • 部長の仕事として、見る必要があるのはどの範囲か(部下が見られるものすべてが必要か)
  • 「代わりに登録する」ことと、部長として承認することを、同じ人が持ってよいか
  • 同じような要望が、ほかの部長からも来たときに、同じ役割で足りるか
  • 急ぎのときの代わりの登録は、役割ではなく、一時的な権限の手続きで扱えないか

役職ごとに役割を作ると、職務の分離が崩れたり、役割の数が増えすぎたりします。仕事の種類から考えます。

8. よくある失敗

9. 成果物との接続

  • SEC-002 権限設計表:役割の一覧と、役割ごとの権限、持たせない組み合わせ
  • PRG-004 役割・責任分担表:プロジェクトの中の役割と責任(システムの権限とは別のものですが、「役割で考える」点は共通しています)

10. AI WORKFLOW — 役割の割り当ての点検を手伝わせる

AIは、役割の割り当ての一覧を、ルールに照らして点検する下書きに役立ちます。

指示例:

「次の役割の割り当ての一覧と、持たせてはいけない役割の組み合わせのルールを比べ、①ルールに反する組み合わせを持つ人、②所属が変わったのに前の部署の役割が残っている可能性がある人、を挙げてください。役割を外すかどうかは判断しないでください。」

11. REVIEW — AIの指摘を確認する

  • AIが挙げた人を、人が元の一覧で確かめたか
  • ルールの例外として正式に認められたものが、誤って挙げられていないか
  • 一覧を AI に渡してよいか(個人の情報の扱い)を、事前に確かめたか

12. 人間が判断すること

  • どんな役割を作り、それぞれに何を許すか
  • 持たせてはいけない組み合わせのルール
  • ルールの例外を認めるか

セキュリティ例外承認は、AIへ最終委任しない事項です(正本の方針)。

13. 判断演習

あなたは、役割の設計の担当です。

「案件を登録する」「案件を承認する」「案件の原価を確認する」という3つの仕事があります。役割をいくつ作り、どの組み合わせを1人に持たせないか、理由とともに書いてください。

あなたの記録あなたの考え。事実ではありません

判断ノート

既定では保存しないため、ページを離れると消えます。

このユニットで覚えてほしいこと

権限は、仕事の種類(役割)ごとに決め、人には役割を割り当てます。

1人に持たせてはいけない組み合わせを決め、異動・退職のときは役割を外すところまでを管理します。

次に読むもの

本文で参照している成果物:SEC-002 権限設計表、PRG-004 役割・責任分担表

関連成果物:未確定(baselineに対応表なし)

関連危機演習:未確定(baselineに対応表なし)

学習状況

状態:未着手